怪物
森の中、雪煙が立ち込めている。怪物は木立の裏で息を潜める。次は自身が狩られる番だとそう理解していたからだ。
事実、
「いるんだろ? 出てこい!」怒声が森に響く。
普段の彼からは想像もつかないような声に、怪物の口から白い息が上がる。
誰よりも聞きたかった声。誰よりも聞きたくなかった声。それが今、目の前にいる。
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