第2話何故なら!私はサンタクロースだからだ!パート2
12月24日午後23時55分
ここはサンタクロース配送センター。良い子の為にプレゼントが全てここに運ばれてくる。今日、いや明日午前0時に配達開始だ。
俺の担当は今夜だけで1000件。
その中でも特にヤバい三軒が、今から行くリストだ。
サンタクロースは複数人いて担当区域がある。我々サンタクロースは「Perfect delivery」そして「The perfect intrusion(完璧な侵入)」と「Deliver the perfect gift(完璧にプレゼントを届ける)」というPerfect Santa Clausとして!
トナカイ「何言ってんの!あんた、何がPerfect Santa Clausだよ!そりゃそうだろうよ!はたから見たら建造物侵入だし不審者だしトナカイいるしでめちゃくちゃ"怪しい"からね!」
サンタ「いや、なんかプロフェッショナル感があってカッコいいじゃん!情熱大陸に出るの憧れてるんだよなあ、俺!」
トナカイ「ねえよ!つうかダメだろ!出ちゃったら!」
サンタ「そういうなって!ジェイソン・ステイサム!」
ジェイソン・ステイサムはトナカイの名前である。
ジェイソン「なんちゅう名前つけてくれてんすか⁉ドライバーによって名前変えるのいいけど、なんでジェイソン・ステイサムなの!」
サンタ「こないだ見た映画でね、トランスポーターって映画を見たらすっげええカッコよくて、今年のトナカイはジェイソン・ステイサムでいこうって思ってつけた!てへペロ」
ジェイソン「いや、そこは映画のキャラクター名でしょ!」
渋い声でサンタのもう一匹のトナカイ"菅原文太"が口を開く。
「サンタ、もう着くけぇ。家の状況確認しとかんでええんか?あ?」
サンタ「おお!気が利くねえ、菅原さん!ジェイソンも見習えよ!ええと一件目は、と」
サンタは家の間取り図をタブレットで確認した。
ジェイソン・ステイサムの心の声(いや、怖えわ!菅原さん、二代目サンタクロース代表取締役社長のトナカイだったんぜ。格が違うしつうか貫録はんぱないって。今回のメンツなんなの!トホホ)
一件目、犬神家
サンタ「ああ、番犬一家か。よっしゃー!行ってきます!」
ジェイソン「待て待て!」
サンタ「なんだ、ジェイソン・ステイサム。どうした?ドッグフードはトナカイにとって毒だぞ!あげないぞ!」
ジェイソン「いらねえわ!じゃねえよ!番犬だぞ!吠えられるぞ!馬鹿なの!最近のサンタは!」
サンタ「なんだ!心配してくれてんの!ジュクシ!」
学生のノリでジェイソン・ステイサムを指でつついた。
サンタ「大丈夫!ここは一ヶ月以上前から、俺が担当すること知ってたから毎朝毎晩、おやつで餌付けして仲良くなった!それに家主とも仲良くなった!グッド!」
ウィンクをし親指を立てながら言った。
ジェイソン・ステイサムの心の声(準備良すぎ!怪しいし、なんで家主まで仲良くなってんの!コミュ力高!)
菅原「早くプレゼントを届けに行ってくれんかのう!まだまだ良い子たちにプレゼントを届けなけりゃいけんけぇ!」
サンタは意気揚々と返事をし家の中に入り、良い子にプレゼントを届けた。
それから何十件と何百件と良い子の子供たちに配り続けたのだった。
999件目、ハント家
サンタ「よし!ここ合わせてあと二件だ!」
ジェイソン「もう999件も配ったんだぞ!さっさと終わらせようぜ!普通のマンションだろ?」
菅原「甘いのう。ここからが本番じゃけぇ」
サンタ「そうだ。ここはセキュリティ一家——元CIAの極秘任務エースの家だ」
ジェイソン「はぁ!?」
15分後——
ジェイソン「死にかけたわああああ!銃弾の嵐!ミサイル!なんか知らないうちに俺の角改造されてビーム出るし!バラバラに分解してオールレンジ攻撃できるし!やられたと思ったらバリア張ってくれるし!俺の角に何してくれてんの⁉」
サンタは"Mission completed"と言ってウィンクして親指を立てている。
菅原「さすがじゃのう」
ジェイソン「菅原さん!冷静すぎる!」
1000件目! 田中家
サンタがタブレットを見て表情を崩す。
ジェイソン「どうした?最後だろ?さっさと——」
サンタ「……この子、去年俺があげたおもちゃ、全部大事にしてるんだ」
タブレットの写真には、おもちゃで埋め尽くされた部屋が映っていた。
「以前会った時にこの子が言ったんだ。『サンタさんがくれたんだ!物価高なのにこんなにおもちゃをくれたんだ!一生大事にするんだ!』って……」
サンタは泣きながら語った。
菅原「……なんて良い子なんじゃ」
ジェイソン「うわ、マジで良い子じゃん……」
サンタ「だから今年も最高のプレゼントを届ける!だが——」
ジェイソン「だが?」
サンタ「床がおもちゃで完全に埋まってる。寝てる子まで辿り着けない」
ジェイソン「え、それってどうするの?」
菅原「最後まで油断したらいけんけぇ!」
サンタ「そうだ!」
鞄から"散らかし部屋コンプリートマニュアル"を取り出した。
ジェイソン「そんなマニュアルあるの!?」
サンタ「ああ。レベル1『お菓子の袋が散乱』からレベル100『ゴミ屋敷』まで完全網羅だ」
菅原「見んさい」とマニュアルを見せた。
ページには『レベル87:おもちゃタワー迷宮』
推奨攻略法:【全身の骨格を液体化】
ジェイソン「推奨がおかしい!!!」
サンタ「行ってくる!私はサンタクロースだ!」
クタクタというかダラダラとしながら赤い服の男がこっちに向かってくる。
ジェイソン「どうでした?上手くいきました?」と心配そうに聞くと——
サンタ「当然だ。私はサンタクロースだ!帰ろう。ハッピーメリークリスマス」
サンタ御一行は空高く飛びフィンランドへ飛び立った。
ジェイソン「そういえば、どうやって最後は攻略したんですか?」
菅原「ジェイソンよ!それは愚問じゃけぇ」
サンタ「それはだな、体中の関節や骨を全て外して蛇状になり、ありとあらゆる隙間という隙間を通り届けた!」
ジェイソン「やば!」
菅原「さすがじゃのう」
サンタ「当然だ!ありとあらゆる家を完璧に侵入し痕跡を残さず、ありとあらゆる家庭内事情を完璧に調査してプレゼントを届ける」
ジェイソン「言い方!怪しすぎるから!」
ジェイソン「……ところで」
サンタ「ん?」
ジェイソン「どうやって骨戻したんですか?」
沈黙。
サンタ「……え?」
ジェイソン「え?」
菅原「……おい」
サンタ「骨って、自動で戻るんじゃないの?」
ジェイソン「知らんわ!!!」
菅原「わしも知らんけぇ!!!」
その瞬間——
カチカチカチカチカチッ!
サンタの体から音がして、骨が全て元の位置に戻った。
ジェイソン「え!?マジで戻った!?」
菅原「なんじゃそりゃあ!!!」
サンタは立ち上がり、ウィンクして親指を立てた。
「なぜなら!私はサンタクロースだからだ!」
ハッピーメリークリスマス! スカイ @sky115
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