5. 収容報告書(Containment Protocol)

【TRC公用書式:TR-Storage-05】


有害遺物収容報告書


FID:TR-0144-SR-01

収容開始日:20XX年10月22日

収容責任者:職員コード:ST-505(有害遺物収容所 第三管理区)

管理番号:TR No.0144(通称:赤いメモ用紙)



1. 収容格付け


確定危険度: ランクB

収容レベル: レベル4(地下450メートル / 第12特殊遺物保管庫)

閲覧レベル: 3



2. 収容手順(プロトコル)


【保管容器仕様】


内壁に高純度鉛をラミネートした強化チタン製二重金庫。


内部は真空状態を維持。


容器の外周には、認識汚染を遮断するための電磁シールドを常時展開する。


【環境維持条件】


完全暗室。


遺物の特性上「光」を介した認識がトリガーとなる可能性があるため、内部カメラは赤外線モードのみを使用し、直接の可視光照射を厳禁とする。


【監視体制】


24時間体制でAIによる自動画像解析を実施。


メモの「枚数」に変化がないか、または金庫内壁に「文字」が浮き出ていないかを0.1ミリ単位で監視する。



3. 特殊封印措置(反呪医学的アプローチ)


【認識遮断】


保管庫周囲20メートル以内への「筆記用具(鉛筆、ペン、スタイラス等)」および「未記入の紙媒体」の持ち込みを一切禁止。


これには職員の私物も含まれる。


【概念的防壁】


「書く」という概念そのものを希釈するため、保管庫周辺には無意味なノイズ(ホワイトノイズ)を大音量で流し、知的活動の集中を妨げる環境を構築している。



4. メンテナンスおよび入室制限


【入室資格】


レベル3以上の権限を持つ職員2名以上。


うち1名は「失読症ディスレクシア」または「認識耐性値(L-Value)150以上」の者に限る。


【防護装備】


レベルB防護服(精神干渉遮断ヘルメット装着)


【定期点検】


30日に一度、金庫の腐食チェックを実施。


前回の点検時、金庫内壁に「たすけて」という微細な刻印(筆記者は不明)が発見されたため、現在は隔壁をさらに強化している。



5. 緊急事態(収容違反)への対処


【予兆】


監視モニターへのノイズ混入、または収容区画外の壁面への自動記述現象の発生。


【一次対応】


区画全体の完全閉鎖(レベル4ロックダウン)


高周波音による認識機能の強制攪乱を実施。


【最終プロトコル】


収容維持が不可能(遺物が壁を透過、あるいは広域汚染を開始)と判断された場合、テルミット焼夷弾により保管庫ごと溶解封印する。


ただし、本遺物は熱耐性が高いため、最終的には「コンクリートによる永久埋設」を行う。



6. 収容担当者の健康管理


【経過観察】


担当職員の間で「指先で壁をなぞる」「自分の腕をペンに見立てて文字を書く仕草をする」などの強迫行動が散見される。


当該職員は即座に任務解除し、Bクラス記憶処理を施行すること。



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承認: 収容所長 [署名/印]

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