3−3

「ところで。」

ある日僕は、気になることがあって藪から棒にラブに聞いた。

「魔力って結局なんなんだ?」


「あれ?人間にも魔力を使える人っていなかったっけ?」

彼女の話を聞くと、どうやら魔族と人間が交流していたかつての時代には、人間界にも魔力を扱える者がいたそうだ。


今はその文化も血も薄まり、すっかり”なかったこと”になっている。

「そっかー。じゃああたしが教えてあげるね!」



…それからラブの講義を聞いたのだが、正直理解が及ばない。一応人間界の理屈で考えるなら…


・この世のあらゆるものは魔力を内包すると考えられている。(生命体かを問わず)

・魔力には属性があり、熱や冷気、光といったものに近しい性質を持つものがある。(そのものではない)

・生命体によっては、魔力を操ることができる。(〜を操る能力のようなイメージ)

・多くの生命は、さまざまな属性の魔力を含有している状態で、「この属性しか使えない」というのは極端な例である。

・魔力の使い方は生命の本能レベルで刻み込まれているもののため、口頭で説明するのが難しいらしい(指向性と内容がキモらしいが…)


こうなる。科学の理屈とは通じるところも明確に違うところもあり、やはり違った概念なのだとわかる。


「そもそも何で人間は魔法を捨てたの?便利なのに。」

「僕は当時の人間じゃないからわからないけどさ。」


「科学の方が”制御しやすく、集団で認識しやすい”んじゃないかな。」

特定の少数のみが使えるものよりも、大衆が学びさえすれば認識できる概念の方が、都合が良かったのだろうと、僕は推測した。


ラブもある程度腑に落ちたようだ。そっかー、と相槌を打つと、

「黒間くんも、魔法教えたら使えるようになるかな?」


…興味や憧れはあるが、今は後回しでいいや、と思う。でも、

「いつか挑戦するのも面白いかもね。」



『魔法は独自の概念。人間界にもかつてはあった?真偽は不明。』

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