侍女に恋を知り、国に挑む。末っ子王子の夜と昼

離宮で静かに育てられた末っ子王子アールヴェリス。
見た目こそ穏やかだが、実際には父王タイリンによる“軟禁”だった。
「この国に、末子はもう必要ない」という理不尽な判断のもと、
赤子の頃から城の片隅に閉じ込められていたのだ。

それでも、彼には確かな“光”があった。
周囲の者を自然と味方に引き寄せ、
侍女たちに囲まれながら内政を学び、
十二歳とは思えぬ政治の才と責任感を育てていく。

そんな日常の中――。
ふとした仕草、触れた手の温度、
何気ない微笑みが胸を強く揺らす。
初めて知る“恋”の衝動は、彼の世界を静かに変え始めていた。

それでも「俺」は国を動かし、
「僕」は侍女に微笑む。
十人の侍女と許嫁。
恋と政務が同時に膨らむ、成長と恋慕のハイブリッド王道譚。


© 2025 沢鴨ゆうま A…続きを読む