出会いと違和感
王宮の謁見の間は、輝かしい朝日に満ちていた。
差し込む陽が、白い大理石の床に反射して、水面のように揺れている。
レオナルド王子は玉座に座り、静かに目を伏せていた。
その横に立つのは、王妹 -アナスタシア。
「王子、紹介いたします。」
アナスタシアは穏やかな声で言う。
「この者は、セラ。詩の才に恵まれた少女です。
出自は平民ですが、その詩を読んだとき、私は確信しました。
この子の言葉は、人の心を癒す力を持っていると。」
王子は顔を上げた。
玉座の前にひざまずく少女がいた。
「顔を上げなさい。」
王子の声で少女は顔を上げた。
この国では珍しい亜麻色のつややかな髪が一房宙に舞った。
うなじがあらわになり、いまにも消えてしまいそうな細さと白さがあった。
深い碧色の瞳。顔立ちにはまだあどけなさが残っていた。
「まだ⋯子供ではないですか。」
王子は低くつぶやいた。
少女――セラは、まっすぐ立っている。
しかし、その目はどこか遠い場所を見ていた。
まるで、ここにいない誰かを探しているように。
「詩で私の心を癒す、と言いたいのですか?」
王子はその碧眼を見つめて言う。
少女は何も答えない。
少女の視点は空虚を漂っていた。
「そうです。」
アナスタシアが代わりに答える。
「あなたの心が、少しでもやわらぐように。この子の詩がきっと力になりますよ。」
「……」
王子はセラを見つめた。
セラは何も言わない。
やっと目の焦点があったかと思うと
ただ、静かに一礼した。
そして、その沈黙が、王子の胸にかすかな違和感を感じさせたのだった。
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