索引集
※人物・用語の説明は、物語の進行にあわせて更新されます。
章の進行により、記述が追加・変更される場合があります。
■ 伝承・神話
天翔鳥神話(あまかけどりしんわ)
天と地の境界が今より近く、
神の声が人の耳に届いていたころ、
海の彼方より、一羽の鳥が現れた。
その鳥は、火を吐くこともなく、
雷を操ることもなかった。
ただ、風の向きを読み、
道なきところを越える術を知っていた。
人々は、その鳥を
天翔鳥(あまかけどり) と呼んだ。
天翔鳥は、争いの地に降り立っては、
ただ互いの言葉を静かに聞いていた。
天翔鳥は告げた。
——天は一つ、
——地は裂けても、空は裂けぬ。
やがて人々は気づく。
争いを越える道は、
力ではなく、
風を読むこと、
理を運ぶことにあるのだと。
天翔鳥は巣を作らず、
都に留まらず、
名を刻むこともなかった。
ただ一度、
人の世に雛を残したという。
その雛は、
まだ空を翔ぶことはできなかったが、
天の広さを知る目を持っていた。
天翔鳥は、雛にこう告げたという。
——お前は、
——留まる者ではない。
——だが、戻る道は忘れるな。
やがて天翔鳥は、
再び海の彼方へと飛び去った。
人々は、
その鳥の名を忘れ、
姿を語ることも少なくなった。
だが、
天を越える力は消えなかった。
それは、
名なき雛の中に宿り、
世の境を越える風となって、
静かに吹き続けているという。
■ 人物(第1章時点)
・真羽彦(まはひこ)
海辺の集落で育った少年。
宗女分家の巫女・真名比売の一人息子。
海の向こう、外の世界に強い憧れを抱いている。
・壱与(いよ)
卑弥呼宗族に連なる少女。
宗女本家に属し、祈りと祭祀を学んでいる。
白砂の庭で育ち、外の世界をほとんど知らない。
・麻都彦(まとひこ)
王邑近くの有力家の少年。
年齢のわりに落ち着いた気質を持ち、
冷静さと洞察力を兼ね備えている。
・真名比売(まなひめ)
宗女分家出身の巫女。
海辺で暮らしながら、王邑との橋渡し役も担う。
真羽彦の母。
・比売麻多(ひめまた)
鬼道司の長を務める老巫女。
卑弥呼に仕えた古参であり、壱与の師。
第1章では、多くを語らず三人を見守る立場にある。
■ 場所
・王邑(おうゆう)
人の祈りが集まる中心地。
政治・交易・祭祀が重なり合う拠点であり、
「都」と呼べるほど整備された都市ではない。
・宗女の座(むねめのくら)
王邑の奥に設けられた宗女たちの聖域。
祈りと神託が行われ、外界とは段階的に隔てられている。
・白砂の庭(しらすなのにわ)
宗女の座の内庭。
・白砂をならし、線を保つことで祈りの秩序を形として示す場所。
本作では「箱庭」の象徴として描かれる。
■ 制度
・巫女王(みこおう)
倭において神託と祭祀を担う王。
卑弥呼がこの立場にあたり、
制度上は「宗女(むねめ)」の頂点に立つ存在でもある。
・宗女(むねめ)
神託と祭祀を担う巫女系譜の呼称。
巫女王を中心とする制度・役割を指す言葉であり、
個人よりも仕組みを示す場合に用いられる。
・宗女本家(むねめほんけ)
宗女の血統と儀礼を正統に受け継ぐ家系。
祈りの型と秩序を守る役割を担う。
・宗女分家(むねめぶんけ)
宗女本家から派生した系譜。
地方や交易拠点で活動し、本家と外の世界をつなぐ役割を持つ。
・男弟ノ部(おととべ)
政・軍事・実務を担う集団。
祈りとは異なるかたちで国を支える存在。
■ 信仰
・鬼道(きどう)
神託・祭祀・政治判断を結びつける信仰体系。
本作では、祈りが社会や国の在り方に影響を与える前提として描かれる。
・鬼道司(きどうし)
鬼道を司る立場・役割。
宗女や巫女を統率し、神託の解釈を担う。
・祈り/祈祷
個人の信仰ではなく、
共同体の秩序を保つための制度的行為。
天翔鳥 @rhyolite
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