路上占い、あれこれ152【占い師は諭す】

崔 梨遙(再)

夜食の掌編 2065文字 いかがですか?

 僕は、30歳くらいのイケテルOL、奈緒子と涼子、2人とお付き合い(2人とお付き合いするのはお試し期間限定でしたが)できてウハウハでした。そして、土曜は奈緒子とランチ→ホテル→ディナー→路上占い。日曜は涼子とランチ→ホテル→ディナー→路上占い。というスケジュールが固定されました。勿論、僕は上機嫌でした。ですが、そこに機嫌の悪い男、立花さん50代、ハゲ、デブが来るのです。



『処女はおらんか? おらんのかぁ?』


 そして、当たり前のように僕の目の前に座ります。


『立花さん、結婚相談所は?』

『行ったで。でも、話にならんわ』

『どうしました?』

『プロフィールに「処女希望」と書いたら、「それは書かない方がいいですよ」って言うてくるんや』

『僕も書かない方がいいと思いますが』

『アカン、アカン、そこは譲られへんところや、強引に書いたわ』

『まあ、書いたのならそれでいいんでは?』

『ほんで写真や! 25歳の時の写真を載せようと思ったら、「アカン」って言うんやで、どう思う?』

『それはアカンでしょ』

『なんでやねん、写真写りの良い写真を使いたいやんけ』

『いやいや、今の姿を見せないと』

『まあ、ええわ。ほんで登録したんやけど、全然連絡が無いねん。誰も女が来ないんや。どう思う?』

『まあ、気長に待ちましょう』

『待たれへんわ! どんな女が来るんか? ワクワクしてたのに、冷めたわ』

『だって、処女希望って書いたら、そりゃあ、なかなか女性は来ないでしょ?』

『アカン、結婚するなら処女や。ほんでな、崔さんやから言うけどな』

『なんでしょう?』

『俺、やっぱり若い子がええねん、女子高生とか中学生はアカンのか?』

『アカンのか? って僕に聞かれても困りますよ。日本の法律に文句を言ってください。後、売春もダメですからね。文句は日本の法律に言ってください』

『アカンかぁ・・・小学生はどうやろう?』

『更にアカンに決まってますよ。なんで小学生を恋愛対象として見れるんですか?』

『でも、高学年やったら発育のいい子はおるで』

『立花さん、本当に逮捕されますよ』

『その時は弁護士がおるから大丈夫や』

『なんで楽観的なんですか? 小学生を買ったら捕まります。弁護士が刑を軽くしてくれたとしても無罪にはなりませんよ』

『そんな大きな事か?』

『大きな事ですよ』

『わからん。俺にはわからん』

『せめて女子大生にしてくださいよ』

『まあ、19歳とか20歳やったらええけど・・・』

『もっと年上でも、処女を守ってきた女性ならいいでしょ?』

『うーん、相手によるなぁ。ブスは嫌やで』

『立花さん、ストライクゾーンが狭いし違法なんですよ。もう自覚してください』

『もしも! もしも! 俺がカワイイ中学生の処女をもらって、そのまま付き合い続けて、女の子が結婚出来る年齢になったら結婚する、責任をとる、これやったらええんとちゃうんか?』

『どうでしょう? オススメは出来ませんね』

『なんでや! 結婚して責任をとるんやぞ!』

『なんで中学生にこだわるんですか?』

『若くてカワイイから』

『・・・もう、やめましょう。現実を見ましょう。あ、キャバクラのお気に入りを口説く話はどうなったんですか?』

『同伴で出勤してるし指名してるで』

『それで?』

『何故かアフターは断られる』

『そっちの方を頑張りましょう』

『10万あげるって言うたで、でもアフターは断られたんや』

『くじけずにアタックを続けましょう、キャバ嬢の方がまだいいです。でも、売春はアカンということは理解してくださいね』

『なんでやねん? なんでお金で女を買ったらアカンねん?』

『わかりました! 風俗に行きましょう! それでいいでしょう?』

『嫌や-! プロはかわいくない』

『なんで? カワイイ子もキレイな子も沢山いますよ』

『玄人は嫌やなぁ』

『風俗店に行ったことは?』

『無い』

『一度行ってみたらどうですか? そんなに高い料金でもないし』

『・・・オススメの店はあるんか?』

『まあ、僕の知っている限りで言いますと・・・』



『崔さん、風俗店に行ってきたで』

『どうでした?』

『二十歳のカワイイ子が出て来たわ。楽しかったわ。時間延長したわ』

『良かったじゃないですか』

『でも、俺は処女を諦めへんぞ』

『違法じゃ無い年齢の処女を探してください』

『そういう崔さんはどうや?』

『どうや? とは?』

『この前の30女の2人組や』

『お付き合いしていますよ』

『どっちや? 髪の長い方か? 短い方か?』

『今は両方とお付き合いしています』

『なんで崔さんばっかりいい思いをするねん?』

『立花さん、30歳に興味は無いって言ってたじゃないですか?』

『それでも羨ましいわ、よし、どうしたら俺が幸せになれるか? 今日はとことん占ってもらうで!』

『はいはい。でも、2人と付き合えているのはラッキーだったんですよ。2人のライバル意識で成り立っているだけです。「奈緒子には負けたくない」、「涼子には負けたくない」、って思ってるから成立しているだけです』

『そんなことは、もうええわ。俺は俺の幸せを探す! まずはキャバクラの〇〇ちゃんとの今後について占ってくれ・・・』



 立花さんの夜は長い。




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路上占い、あれこれ152【占い師は諭す】 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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