第4話 1人の女子生徒
アリアが手紙の内容を見る。
「世界で一番お花がある場所の、お花が咲いた」
「……かぁ」
アリアはため息をついた。
「やれやれ……困ったな……」
アリアは考え込んだ。
(怪文書過ぎて全く理解ができない……が、お花。お花か……)
「あ」
アリアの脳裏に浮かんだものは……
「よぉクララ。まだ一人なのか?」
「ひゃうっ!?」
女子寮裏の花壇。
そこにはクララがいた。
先日アリアに背中を押されたものの、物おじして誰にも話しかけることができていないクララが。
「し、仕方がないじゃないですか!私今までの人生お花としか喋ったことなかったんですもん!人間としゃべるのは難易度高いですよ!」
クララが必死に自己擁護をする。
「そっか。じゃあまずは人間以外の動物……は難易度高いか。食虫植物とかにでも話しかけてみたらどうだ?」
アリアが軽く茶化した。
「そしたら変な奴じゃないですか!」
「おかしいな。お前の現状を語っただけなんだが」
「……」
「……まぁいい。そんなことよりお前、昨日起こった事件を知ってるか?」
アリアの眼光が鋭くなる。
「え?なんのことですか?」
クララがぽかんとしながら返す。
それを聞いて、アリアは
「やっぱりか……」
と肩をなでおろした。
(ここまで能天気なのは異常かと思ったが……知らないんだな)
「昨日、ユキラが1人死んだ」
「え!?」
クララがびっくりした顔をする。
「う、嘘……し、死んだ……?」
「お前、人と関わらないうえにずっとここにいるから情報がほとんど入ってこないんだろ。まぁでも気にしないでいい。ユキラを殺した魔族は俺が殺しといたから」
「よ、よかった~!もしかして疑われてるのかと……って、魔族!?」
クララが大きな声を出す。
「は?お前……」
「なんで魔族がメガロスにいるんですか!こ、怖い!」
クララが激しく動揺した。
「いや、それは初日で……って、お前!体育館に居なかったのか!」
アリアが合点がいったように言う。
クララはその言葉を聞いてばつが悪そうに、
「し、新任の先生が来ることは風のうわさで聞いてたんですよ。先生が死んじゃったから新しく来るみたいな……」
と言う。
(まじかこいつ……)
アリアは愕然としていた。
(こいつ、まじのボッチじゃないか……)
メガロスでフィーロが魔族に殺されたというのは生徒も周知している情報である。
しかし、その情報が伝達されたのは生徒に招集がかかった時に発表されたことであり、招集を無視したクララにはその情報が伝達されていなかったのだ。
「ある意味すげぇなお前……」
アリアが引きながら褒める。
「そんなことより、この手紙読んでくれ」
アリアが手紙をクララに渡す。
「ん?なになに~?世界で一番お花がある場所の、お花が咲いた?」
「?」
クララが?といった顔つきをする。
「まぁ、そうなるよな……」
「いたずらじゃないんですかー?ほら、明るいこっていたずら好きそうじゃないですか。そんなことより、そろそろタイヨウソウが咲きますよ!」
クララがニコニコしながらタイヨウソウに近付く。
(世界で一番お花がある場所の、お花が咲いた)
か。
花が何かのトリックになることはわかる。ただ、それがなんだか……。
クララお気に入りのタイヨウソウは関係なさそうだし、ほかの花に何か所以があるのか?
「そろそろかな。そろそろかな~」
(お花が咲いた?世界で一番お花がある場所の?)
(この文章、よく考えたらダブルミーニングだな。お花が咲いたとお花が最多か……)
「ダブルミーニング、二重の意味……」
20?
(その花、20分しか咲かなくて……)
「なぁクラ……
ボンッ!!
爆発魔法が爆発した。
教師アリアは学園に潜む魔族を殺す 社会の猫 @yauhshs
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