第四章 モンスター☆トリオ、商店街の危機を救う?
「さあ、やってまいりました!モンスター☆トリオのふれあいステージだよ!」
商店街の特設ステージ。
ドラキュラが軽快なステップでマイクを握ります。
「旦那、あの子、今にも泣きそうっすよ」
舞台袖で、フランケンが冷や汗を流しながら呟きます。
最前列で固まっているのは、遠足でやってきた幼稚園児たちです。
「ガ、ガオー。ほら、怖くないぞ〜、キティちゃんだぞ〜」
狼男のつぶらな瞳と牙は獲物を狙う獣です。
そんな狼男が、キティちゃんのぬいぐるみを持って、キティちゃんだぞ〜、って言っても不気味なだけです。
「うわぁぁぁぁぁん!!」
園児たちは一斉に泣き出してしまいました。
「や、やっぱオレら、モンスターだ」
三人はガックリと肩を落とし、舞台上でしょんぼりと黙り込んでしまいました。
しかし、そこでドラキュラが顔を上げました。
「いや、諦めるのはまだ早い。おいフランケン、最大出力だ」
「えっ、でもそれやると、オレ一週間はコタツから出られなくなるっすよ」
「今ここで笑わせなきゃ、モンスターの名が廃るだろ」
フランケンは覚悟を決めました。
「ふんぬぅぅぅ」
彼が一生懸命に冷気を放出すると、ステージにキラキラとした雪が降り始めました。
「わあ、雪だ」
泣き止む子供たち。
そこへ狼男が四足歩行で駆け寄り、子供たちを背中に乗せてステージを駆け回る「狼体験コース」を即興で開始しました。
「おやおや、お嬢さん、お坊ちゃん。あったかいミルクティーはいかがかな?」
ドラキュラが魔法のような手つきで、電子レンジで温めた甘~いミルクティーを配り歩きます。
イベントは大盛況です。
最後には「ケンちゃん、また雪降らせてね」「狼さん、ふわふわ〜」と子供たちに囲まれる三人の姿があリました。
「ふぅ。時給以上の働きをしちまったな」
狼男がボヤきながらも、スマホで子供たちとの記念写真をチェックしています。
「いいじゃないか。明日もまた、献血センターと動物カフェと商店街で、しっかり稼ぐとしよう」
ドラキュラは満足げに、ミルクティーを飲み干しました。
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