第二章 狼男、かわいすぎてつらい夜

「キャーーー! 顔にモジャモジャの毛が生えてきた」


「や、やばい……今夜は満月だったか。くっ、苦しい。意志とは裏腹に、オレの中の獣が目を覚す……」


「キャーーー! 牙が、牙が……超かわいいっ」


「え? いやいや、そうじゃなくて。オレは今、危険な存在なんだよ。 近寄るな、喰っちまうぞー!!」


「ちょっと待って〜。忘れ物よ。ほら、キティちゃんのぬいぐるみ」


「……(フリーズ)」


せっかく狼に変身したのに、そのつぶらな瞳にときめかれる始末です。


しかも忘れ物がキティちゃんって。

狼男の威厳はどこへ行ったのやら。


怖がられたいのに、

「カワイイ〜」と写真を撮られる、それが彼の満月あるあるです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る