エピローグ 新たな旅の始まり

 数日後。俺は王城のバルコニーで、風に吹かれていた。


 リガスたちは地下牢行き。これまでの悪行も次々と暴かれ、二度と日の目を見ることはないだろう。一方で、俺には王室から「専属魔導顧問」という破格の役職が打診されている。


「アレン様、ここにいらしたのですね」


 シルビア王女が、柔らかな微笑みを浮かべてやってきた。彼女は俺の隣に並び、遠くの景色を眺める。


「これから、どうされるのですか? この国に残ってくださるのなら、私は……」


「……いや、少し旅に出ようと思っている。あいつらの真似事じゃない、俺自身の力で、この世界を見て回りたいんだ」


 【神意模倣デウス・エクス・マキナ】。この力があれば、どんな困難も乗り越えられる。でも、それ以上に、俺は自分の足で歩く楽しさを思い出したんだ。


「そうですか……。では、私もお供してもよろしいでしょうか?」


「えっ、王女様が?」


「はい。私も『本物』の魔法を、もっと近くで学びたいのです。……それに、荷物持ちポーターは、もう必要ありませんものね?」


 彼女はいたずらっぽく笑って、俺の腕に自分の手を絡めた。空はどこまでも高く、青い。宴会芸と笑われた少年の物語は、ここから「伝説」へと変わっていく。


「……ああ。行こう、シルビア」


 俺たちは、新しい世界へと足を踏み出した。

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宴会芸だと笑われた【誇張ものまね】が、実は神の業だった件〜囮として捨てられた荷物持ち、絶世の王女を救って「真の無双」を始める。今更戻ってこいと言われても、もう遅い〜 プロンプト作家 @prompted_writer

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