第13話 仲間との絆と作戦の深化
朝の光がギルドの訓練場を照らす。ローグは剣を握り、仲間たちと今日の作戦確認を行っていた。昨日のCランク任務を経て、彼らは単なる連携ではなく、戦術的な動きの理解と事前の作戦を意識していた。
「今回は森の北部、複数ルートから敵が接近する想定だ。ローグ、君は中央突破の担当だ」
リオが説明する。
ローグはうなずく。身体能力と覚醒力の制御、そして仲間との呼吸――すべてが今、試される瞬間だ。心臓が高鳴り、胸の奥に集中力が流れ込む。
森に足を踏み入れると、霧の中で小型~中型モンスターが次々と現れる。ローグはまず身体能力を使い、踏み込みと回避で敵をかわしつつ、仲間の位置を確認する。覚醒力は必要な瞬間だけ最小限に引き出す。
「ローグ、右に回り込め!」
ミラの指示に瞬時に反応し、ローグは剣を振り、右側の敵群を食い止める。リオとケインも動きを合わせ、全体の戦術が実行される。
今回は単純な連携戦ではなく、作戦のタイミング、位置取り、攻撃順序が重要だ。ローグは仲間の動きと敵の反応を観察しながら、自分の役割を精密に遂行する。
森の狭間で中型モンスターが二体同時に襲いかかる。ここでローグは身体能力と覚醒力を連動させる。踏み込みで一撃を避け、回避しながら小さな覚醒力の爆発で速度を補助し、仲間に敵を誘導する。ミラの盾、ケインの矢、リオの指示――全てがタイミングよく噛み合う。
「よし、完璧だ!」
ローグの胸に小さな達成感が広がる。仲間との呼吸が完全に同期し、戦術が機能する喜び――これまでの単独任務やCランク任務では味わえなかった充実感だ。
戦闘終了後、ローグは息を整えながら仲間を見渡す。ミラの笑顔、ケインの頼もしい目、リオの冷静な表情――彼らとの絆がさらに深まったことを実感する。身体能力と覚醒力の成長に加え、仲間との戦術理解が戦力としての自信を生み出していた。
夕日が森を赤く染める中、ローグは剣を拭い、胸に拳を押し当てる。Fランクの弱小冒険者として始まった自分の旅――身体能力の向上、覚醒力の制御、そして仲間との戦術理解。この三つが組み合わさり、ローグはさらに一段階、冒険者として成長したのだった。
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