第12話 高難度任務初陣

朝霧が森を覆う中、ローグと仲間たちはCランク依頼の現場に到着した。目の前に広がる森は、昨日までのFランク任務とはまるで別世界だ。茂みの中に潜む敵の数も種類も多く、緊張感が胸を締め付ける。


「油断するな、今回はCランク……戦力を見極めながら進め」

リオが低く警告する。


ローグは剣を握り、心拍を整える。身体能力の向上、覚醒力の制御、仲間との連携――すべてを試す場面が今、目の前に広がっていた。


森の奥で、小型と中型のモンスターが混在する群れが現れた。仲間と共に戦いを開始する。ローグは身体能力を駆使し、踏み込みと回避で敵の攻撃をかわす。必要に応じて覚醒力を少量引き出し、攻撃力と反応速度を補強する。


「ローグ、右から来る!」

ミラの声に反応し、ローグは剣を振り、右側から飛びかかる敵を正確に迎撃する。身体が自然に動く。訓練で培った動きが、今、戦場で直感的に連動していることを実感する。


敵の群れが森の狭間で押し寄せる。ローグは踏み込み、回避、攻撃を繰り返す。覚醒力を爆発させず、最小限で持続させながら動く――これが自分の成長の証だと感じた瞬間だった。


「ケイン、援護よろしく!」

矢が次々と敵を捕らえ、ミラが盾で防ぐ。リオの指示も的確で、チームとしての動きが完璧に近づく。ローグは仲間とのタイミングを意識しつつ、身体の力だけで敵を切り倒していく。


中型モンスターが一体、ローグの前に飛びかかる。踏み込み、回避、そして最小限の覚醒力を使った一撃――敵は倒れ、森に静寂が戻る。


戦闘が終わった瞬間、ローグは膝をつき、深く息をつく。全身の筋肉は疲労で重いが、心には満足感と自信が広がる。身体能力と覚醒力、そして仲間との連携――これまでの成長がすべて結実した瞬間だった。


「やった……俺たち、成功したんだ」

胸の奥で小さな誇らしさが芽生える。Fランクだった自分が、Cランク依頼で仲間と共に戦い抜けるようになった――これが成長の証だ。


夕陽が森を赤く染める頃、ローグは仲間たちと共にギルドへ戻る。疲労は大きいが、心には確かな手応えがある。Fランクの弱小冒険者――ローグは、身体能力と覚醒力、仲間との連携を武器に、新たな冒険の一歩を踏み出したのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る