第7話 尋
「サトル、僕の話を聞いてくれるか?」
「なんだー?クラスの女子で好きな子でもおるんか!」
「違う、違う。僕の過去の事なんだ、、、、。」
「うん?リョウの過去って?前に遊びに行った時に聞いたんやないか?」
「いや、それとは違うんや。今回のコンサートもな、ある事を確かめたくて行くことにしたんや。」
「なんや、真剣に聞かならんげな言いようやな。よし、聞こうやないがや。」
僕はあの日の事を思い出しながら話した。ところどころ曖昧な部分もあったが何とか気持ち悪くもならずに話し終えた。
「うーん。そんな事があったんげな。すごい体験やったなぁ。けど、そのおさげちゃんは
リョウが死なせたかはわからんのと違うか?発見されたのが寮の中って言うことはその子を誰にも見つからんように通路から運ぶやで?力の入らんもんは重たい。リョウができたんやろかなぁ。
まっ、話はわかったさけ。コンサート終わった翌日に行てみようや。現場100ペンって刑事ドラマでも言うさけな。」
僕はサトルに話してよかったと思った。実はあの場所にひとりで行くのはかなりの覚悟がいる。怖く無いと言ったら嘘になる。
コンサートは楽しかった、初めてだったし、席もけっこう良かった。皆んなで一緒に歌ったり、ダンスしたりで汗をかいた。これは、サトルがハマるのも無理は無いと思った。
テレビで観るのとは全く別。すぐそばで同じ空間の中で同じモノが好きな人達との何とも言えない高揚感は僕に嫌な事を忘れさせてくれた。
コンサートがおわっからサトルの親戚の家に泊まらせてもらい、翌日には朝早く出発した。サトルの親戚のおばさんがおにぎりのお弁当まで持たせてくれたのには感謝しかない。僕はもう神経質になり朝ごはんは殆ど食べる事ができなかった。
サトルの親戚の家からは電車とバスを乗り継いで、あの街に帰ってきた。
バスを降りたら、そこには確かに記憶のある風景が待っていた。僕は思わずサトルの後ろに隠れた。
「リョウ、大丈夫かや?僕が先に行くから後から着いてきたらええが。」
「うん、悪いなや。」
僕はサトルの後をのろのろと足元に目をやりながら歩いていたから、立ち止まったサトルに気がつかないで背中にぶつかってしまった。
「あ、ごめん、サトル、、。」
「なぁ、リョウ、ここやないが?」
僕は思わず顔をあげた、、ら、そこには、見た事もない真っ白なかわいい家が建っていた。家の門には「ひかりの家」と丸っこい文字の表札がつけられていた。
全然違う、、。そりゃそうだ。火事で丸焼けになったんだもんな。あれから建て直しをしたんだろう。
明るい開放感のある家みたいな作りに、僕はある意味良かったとほっとした。
僕は右手の方を見た。そこには、紛れもなく教会があった。変わってないのか、、。
「なぁ、まるで普通の家みたいだなや?これ、建て直したんやないが?」
「うん、そうだと思う。僕が住んでた所は燃えてしまったがや。古くてな、バラックみたいな木造の建物やったが。隙間だらけやったげ、冬なんか隙間風が入って寒うてな。
皆んなで足とかくっつけて温まってたんや。」
「そげか。なら、こげな事を言うんは不謹慎やけど、丸焼けになってこんなちゃーんとした建物になって良かったんかも知れんな。亡くなった子供さんには悪いけどや。」
亡くなった子供と言う言葉が僕をドキッとさせた。そうだ、あの子、あの子、あの子、、。みーんな死んだやな。
「リョウ、大丈夫か?せっかくここまで来たんやに、中に入れてもらおや。もしかしたら、昔の職員さんもおるかもしれんやろ?それに建物は変わっても何かリョウが忘れてる事を思い出すかもしらん。」
サトルの言う通りだと思った。せっかく、ここまで来たのだ。外は変わってても中に入れば思い出す出すこともあるかも知れない。いや、それもだが、僕に関しての書類が残っていないだろうかと、ふと思ったのだ。
自分の出自など今更知ってもどうにもならないと思って来たけれど、これは神のお導きかもしれんような気がする。
サトルと僕は「ひかりの家」のチャイムを鳴らした。
僕は気づくべきだった、サトルが何故、迷いもせずにここに僕の前を歩いて着けたことに、、、。
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