第3話 逃


先生も事情聴取とかで何度も話を聞かれたそうだ。

それにもまして、新聞やテレビや色んな大人達が火事の事で施設の関係者を追い回していたらしい。ただの火事で施設の子供だけが死んだのなら、ここまで世間は興味を持たなかっただろう。あの子が何故巻き込まれて死んだのか?それが謎として世間の注目を集めているんだって。

僕は食べると吐いてしまうようになり入院は長くなっていた。

アズミ先生だけが忘れないで面会に来てくれた、そしてある日俺にこう言ったんだ。

「リョウ君、私の田舎に帰りましょ。山があって川も澄んでて魚もいるのよ。

ここの川なんて臭くて何もいないのよ。そう、人間も住めないような場所、、。」

俺は施設に戻されるのは、もう、嫌だったからアズミ先生が連れて行ってくれるなら

どこでも良かったんだ。

当時は施設の子供を引き取るなんてたいした審査も無かったみたいで、すんなり俺は先生と田舎に行けることになったんだ。


そこは自然だけでビルも無ければ、スーパーも無い、村の人はみんな知り合いでお互いの家に勝手に入ってくようなところだった。

俺は、アズミ先生のお父さんとお母さんに紹介された。正直、迷惑がられて嫌な顔されるんじゃないかって心臓がバクバクしたんだ。

「おお、あんたがリョウ君かいな?ここいらはなーんも無いからびっくりしたんと違う?」

「あははー。そやの。都会育ちやけの。よう来てくたの。住めば都ちゅうでな。」

そう言うとお父さんはガシガシと頭を撫でてくれた。大きくてゴツゴツした手は暖かくて

俺を歓迎してくれてるのが伝わってきたんだ。


その日から僕はアズミ先生んちの子供になった。

村の子供達は最初から遠慮なく質問攻めにしてきた。

「なぁ、リョウ君、親おらんの?なんで?」

「施設ってな、どんなとこ?何人おんの?」

「都会って大きなビルとか立っとんやてな、、。あの山くらいけ?」

「アズミちゃんは先生しとったんけ?不思議な感じやなぁ。おてんばで村で有名やったのにの。」

ここに来るまでは、僕にこんなに真っ直ぐに聞いてきた学校の友達や同級生はいなかった。何か、コソコソと僕の話をしてるだけ。それがわかっていながら気がつかないフリをするのはウンザリしてたから、真っ直ぐな目で聞いてくる村の子には嫌な気持ちにならなかった。

大人もそうだった。

「アズミちゃんの連れてきた子やに。まあ、まあ、利発な顔しとんのう。うちの子と仲良うしてやってな。」

こんな風に接してくれたから、僕はすぐに馴染んでいった。





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