第3話 崩壊 ―ミサキの最後

役員会議室。


ミサキは立ち尽くしていた。

録音、証言、送金記録。

逃げ道はなかった。


「ミサキ。君は後継者ではない」


ヨシオの声は、氷のように冷たかった。


「会社後継者の資格を、即刻取り消す」


「違う……! 私は、私は選ばれるはずだった!」


ミサキは叫び、笑い、そして崩れ落ちた。


奪い続けた女に、

最後に残ったものは――何もなかった。



そして、光へ


花子は祖母とヨシオに抱きしめられ、朝の光の中に立っていた。


小さなキーホルダーが、胸元で揺れる。


それは奪われても、闇に沈められても、

必ず持ち主のもとへ戻るものだった。


血は、嘘に負けない。


愛は、恐怖に勝つ。


花子の新しい人生が、静かに始まった。


――終わり。

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卵売りの花子 @22351431tu

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