第3話 晴れ
〈A視点〉
今日は、晴れ。晴れは好きじゃない。眩しいし、なんか、頑張らなきゃいけない気がしてならないから。日照権とか、関係なくカーテンを閉めておく。
「お腹空いたな。まだ何かあったっけ。」
キッチンの棚を漁る。最後、1つのカップラーメンを手にし、お鍋でお湯を沸かす。お湯が沸くまでの間に、お気に入りのネット小説を読む。最近は、更新が少ないが、読むスピードが遅い自分は全く気にしていない。特段、大きな展開があるわけでもなければ、物語の動きも少ない。それでも、ふとしたタイミングで読んでしまう、癖になる作家さんである。どこか、自分に似ているような気がする登場人物が、自分とは無縁の経験をしているのだから、創作の世界は面白い。情景を想像しながら楽しめるのだから、現実から逃げるのに丁度いい。
ふと気が付くと、鍋のお湯が沸騰している。ネット小説は、読んだ履歴をそのまま保存できるのところも好き。スマホの画面を切って、カップラーメンを開ける。お湯を入れてからの3分間も、小説を読む。
「あ、最新話まで追いついちゃった。」
最終更新は、2か月前。しばらくはお預けかと、少し肩を落とす。曲を書けていない自分に何かを言う権利は無いのだけれど。カップラーメンを食べながら、今日は何ができるのだろうと部屋を眺める。
〈B視点〉
今日は、晴れ。今日は、担当さんとの打ち合わせの日。新しい案件があるんだとか。最近は、自由に書くよりも、そうやってお題をもらって指示通りに書いた方が楽だなと感じるようになってきた。ネットの小説サイトも、約2か月、更新ができていない。
「今日、場所どこだっけ。あぁ、駅前のカフェか。」
スマホのメール履歴を見ながら、家を出る準備を進める。ワイヤレスイヤホンを取り出し、お気に入りのアーティストの曲を流す。そんなに売れていないアーティストだけれど、雰囲気が好きで、よく聞くのだ。なぜか、聞いていると落ち着く。最近は、新曲の更新が無いから少し寂しい。原稿を書けていない自分に何かを言う権利は無いのだけれど。
家の鍵を手に取り、駅前のカフェを目指して歩き出す。
雨に紛れて 雨詩 @yu-snow
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。雨に紛れての最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます