第8話…森の光に包まれて

森の奥へ進むと、

木漏れ日が一層柔らかく差し込み、

風もそよぎながら、

森全体が

静かに息をしているようだった。


あの小さな生き物は、

ぴょんと跳ねながら私のそばを歩く。

その動きに心が自然とほぐれ、

胸の奥のざわつきが、

少しずつ静まっていくのを感じた。


「大丈夫だよ」

森の空気が、そう囁くように感じた。

不安や迷いはまだ完全には

消えていないけれど、

歩きながら受け止められる

自分になれた気がした。


やがて、小さな光の粒が

森の中で静かに輝き、

足元を柔らかく照らしてくれる。

光の中を進むたび、

——私は守られている。

——私は必要なんだ。

そんな思いが自然と胸に広がる。


木漏れ日と光、そよぐ風、

小さな生き物の存在。

すべてが、私の心を優しく

抱きしめてくれる。


そして、私は深く息を吸った。

森の中で感じた温かさと安心を、

これからも胸に抱きながら

歩いていこうと、静かに決めた。


——大丈夫。

——今のままでいいんだ。


森は今日も、優しく、温かく、

私を迎え入れてくれた。

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