第7話…森の試練と気づき
森を歩くうちに、
少し薄暗い小道に差し掛かった。
木々の間から光が少ししか差さず、
足元の影が揺れる。
胸の奥に、わずかな不安がよぎった。
「大丈夫…だよね」
小さな声で自分に言い聞かせる。
でも、心のどこかでまだ怖がっている自分もいる。
そのとき、あの小さな生き物がぴょんと前に出て、私を見上げた。
まるで「一緒に来て」と言っているかのように、ゆっくりと小道の先を示す。
私は深呼吸をして、
一歩ずつ足を進めた。
影の中に入ると、
森の音が少し大きく感じられる。
風の音、葉のざわめき、
遠くの鳥の鳴き声。
でも怖くはなかった。
むしろ、森が私の勇気を確かめるために呼吸を整えているようだった。
小道を抜けると、突然明るい広場が
広がった。
草の上に光が降り注ぎ、
森の静けさの中に
柔らかい温かさが満ちていた。
——怖かったけど、歩いてこれた。
——私は、大丈夫だったんだ。
胸の奥にあったざわつきが
少しずつ消え、
代わりに、森の光と温かさが
心に広がった。
小さな生き物が寄り添い、光を浴びながらじっと見上げる。
私は微笑んで、そっと手を伸ばした。
この温かさと安心を、しっかり受け止めながら――
——私は、必要なんだ。
——今のままでいいんだ。
森の中で、自分の心と向き合いながら、私はまた一歩を踏み出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます