第6話…森の仲間と歩く

森の中を歩いていると、あの小さな生き物が、ぴょんと私の前に飛び出してきた。


その姿は、丸い体に柔らかい

毛が生えていて、

目はまんまるで好奇心に満ちていた。

その小さな瞳を見つめると、胸の奥の不安が、少しずつほどけていく。


「一緒に行こうか?」

思わず声をかけると、生き物はちょこんと頭を下げ、まるで返事をしてくれたようだった。


森の中を一緒に歩く。

風が葉を揺らし、鳥の鳴き声が遠くで響く。

足元の草の感触や、木漏れ日が差す明るさが、心を優しく満たしてくれる。


少しずつ、私の胸は落ち着き、安定してきた。

まだ不安は完全には消えないけれど、

この森には、守ってくれる存在がある。

そして、私を必要としてくれる小さな命も、そばにいる。


——私は一人じゃない。

——大丈夫、今のままでいいんだ。


森の光の中で、私は小さな生き物と並んで歩く。

心の中に、温かさと希望が少しずつ積もっていくのを感じながら――

今日も、森は優しく、私を迎え入れてくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る