第5話…森の中の小さな出会い

森を歩いていると、

足元に小さな影が揺れた。

そっと見下ろすと、

丸い瞳をした小さな生き物が、

じっとこちらを見ていた。


「こんにちは…」

思わず声をかける。

生き物は驚く様子もなく、

ゆっくり近づいてきた。

その柔らかい毛と温かい体に触れると、胸の奥のざわつきがふっと和らぐ。


森の中には、まだまだ知らないものがある。

けれど、ここでは怖くない。

少しずつ、目の前の世界を信じていいと思えた。


生き物は、小さな光の粒とともに

森の奥へ導くように跳ねていく。

私はそれを追いかけながら、心の奥で小さな声が響くのを感じた。


——大丈夫。

——私は一人じゃない。


森の木漏れ日と光、そよぐ風。

小さな生き物の温もり。

すべてが、私を守ってくれている。


まだ不安はある。

でも、少しずつ歩みを進める

勇気を持てた。

森は優しく、温かく、

私の心を少しずつ満たしてくれるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る