第3話…森の中で

森の中に一歩足を踏み入れると、

木漏れ日が柔らかく体を包んだ。


風がそっと頬を撫で、

葉のざわめきが耳に届く。

鳥の鳴き声が遠くから響き、

心の奥に小さな安心が広がった。


「怖くない…大丈夫…」

小さな声が自然と口をついて出る。

白い空間では聞こえなかった、

自分自身の声だ。


ゆっくり歩くたびに、

足元の草や土の感触が伝わる。

踏みしめるたびに、

少しずつ心が軽くなるような

気がした。


森の奥には、

小さな光の粒が浮かんでいて、

まるで導いてくれるように

揺れている。


その光に向かって歩くと、

胸の奥にあったざわつきや不安が、

少しずつ溶けていくようだった。


——ここにいてもいいんだ。

——私は必要なんだ。


小さな声と光が、心の奥まで届く。

森は優しく、そっと背中を押してくれるようだった。

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