第8話 宿命の対峙
山頂には、黒曜石の甲冑を纏った、巨大な人影が立っていた。闇の騎士、その存在そのものが世界の終焉を告げるかのように、周囲の光を全て吸い込み、ただならぬ威圧感を放っていた。彼の背後には、聖なる山の頂上にあったはずの光の神殿が、黒い渦に飲み込まれ、崩壊の危機に瀕している。
闇の騎士は、アリスの姿を認めると、ゆっくりとその顔を上げた。
「来たか、光の覇王よ。我が目覚めの引き金となった、忌々しき存在」
その声は、アリスの魂を直接揺さぶるかのように響き渡った。
アリスは、賢者ヴェリタスから授かった光の剣を強く握りしめた。剣からは、彼の心と同じく、揺るぎない覚悟を秘めた黄金の光が放たれている。
「お前が、闇の騎士…」
アリスの声は、まだ震えを帯びていたが、彼の瞳には、もはや恐怖の色はなかった。そこには、世界を救うという、賢者の遺志を受け継いだ強い決意が宿っていた。
「私はアリス。光の覇王だ。お前が世界を滅ぼすというのなら、私がそれを止める」
闇の騎士は、アリスの言葉にゆっくりと首を傾げた。その動作一つ一つが、世界の理を歪めるかのような重みを持っていた。
「光の覇王よ。お前は私を止められぬ。なぜなら、お前の存在こそが、私を呼んだのだから。そして、この世界は、お前の光を恐れ、お前を拒絶した。ならば、この世界に光など不要。私は、その望み通り、全てを闇に還すのみ」
闇の騎士が、漆黒の剣『終焉の刃』をゆっくりと引き抜いた。その刃は、周囲の光を完全に吸収し、宇宙の闇そのものを具現化したかのように鈍く輝いている。
アリスは深く呼吸を整えた。彼は、もう逃げない。もう隠さない。彼は、自らの存在を受け入れたのだ。
「いいや。たとえ私の存在が原因だとしても、この世界には、光が必要だ。そして、それを守るのが、私の運命だ!」
黄金の光と漆黒の闇が、聖なる山の頂で、ついに激突の時を迎える。この戦いは、単なる二人の戦いではない。それは、伝承が予言した、世界の命運を賭けた最後の戦いだった。
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