第4話:触れない
河川沿いの草むらを掻き分けて進む。実際には掻き分けているつもりで、指には何も触れない。でも、僕の青白い腕が伸びて、長い草が指の間に入り、左右に割れて道を作る情景が目の前に広がる。
生きている人間にはこれがどのように見えるのか、とても気になるけれど、話せる人はいない。
地面を踏みしめることさえできないのに、僕は足をちゃんと交互に前に出して、歩き進めるのだ。皆んなで練習したその場走りよりも軽く、滑るように抵抗のない、不思議な感覚。
この体はどうなっているのだろう。そんなことを考えながら、芝生の上に寝転がる。草の匂いに包まれる。太陽は灰色の向こうで白く、ぼんやりと光る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます