日高の絶望を拾い集める物語 か

三回拝読しました。

1度目はストーリーを掴むように
2度目は照明田中の視点で。

3度目は、どこかに落ちているはずの日高の絶望を探すように。

結論から申しますと確たるものは見つかりませんでしたので推測の話になってしまうのですが、そこは読者側に委ねられている部分かなと思いますので。

はじめはか弱く庇護される対象でしかなかった紗奈。

おそらく日高と紗奈の関係も本人たちが意識していたかは別として守る者守られる者という非対称のものだったのかもしれません。

その紗奈がいつしか本物の女優として変わり始めたとき、同時に日高の焦燥も始まった。

舞台本番にて突然始まる日高のアドリブは、置き去りにされつつある男の叫びでしょうか。

そして紗奈の凛とした演技はかつて身を寄せた者から離れ行く、優しくも明確な拒絶だったのかもしれません。


はじめに申しました通り、上は推測、いや妄想に近いものかもしれません。

読者によってさまざまな解釈の余地があり、最後に言いようのない余韻を残す物語だと私は感じました。

他の方の解釈もお聞きしたく。
せひ、ご一読ください。