第2話 ラナは人に紛れる


 カリマーラはオアシス都市と言えど、暑いことに変わりはない。

 特にパルディスと比べて自然が圧倒的に少ないここは、ラナにとっては苦行とも言えるものだった。

 どこにいっても四角い黄土色の土でできた建物が密集し、人が溢れかえっている。人混みに慣れていないラナは、人にぶつかり、迷惑そうな顔を向けられる。隅に縮こまっていても、そこに物を置くから退けと言われ、またあてどなく彷徨う。今も建物の隅でめまいを覚えながら縮こまっていた。

 男の顔しか知らないラナにとって、この人混みで探すのは無謀だったと心が折れかけ、元気がなくなっていった。伸ばす羽も今はないというのに、羽を伸ばしたくて仕方がない。この人混みから飛び出して自由な空へと飛び上がり、熱波の少ないパルディスに逃げ出したかった。

(でも、今パルディスに帰ったら、今度こそガウルにパルディスから出してもらえない……)

 ラナは頭をブンブンと振り、両手を握りしめる。

「だ、大丈夫。あのオスはここにいるんだから……きっと出会える」

 ラナは再び雑踏の中に足を踏み入れる。しかし、再び人の波にさらわれて流されていった。

「あぁぁ〜」

 目をぐるぐるとさせながらラナは路地に逃げ込む。空を見上げると、建物と建物の間にかかってある日除の布のせいで、あるはずの青空が全く見えず、胸が不安で締め付けられていった。

「うっ、うううう……どこ、どこにいるの。お腹も減ったし、喉も乾いた……」

 項垂れて歩いていると、ラナは大通りの方に果物が沢山山積みになっていることを思い出した。

「そうだ。あそこに果物あった。あれ食べてまた探そう。よし!」

 重かった足取りも少し軽くなり、大通りへと向かう。大通りには、テントを張った露店が所狭しと並んでいる。そこには、果物だけでなく、絨毯やランプ、衣服や香辛料など様々なものが並んでいた。鼻を突き刺す香辛料や色鮮やかな品物はパルディスにはなかった物で、ラナは目を輝かせながら周りを眺めた。

 特にいつも空の上から見ていた荷馬車に積まれた、赤色に艶々と輝く宝石のようなきのみに視線を奪われ、果物が沢山売っているテントの前で足を止めた。

「お嬢ちゃん、何か欲しい物でもあるのかい?」

 店主であろう女性が、微笑みながらラナに声をかける。ラナは肩を上げて、少し身じろぎするも、微笑む女性に警戒心を緩め、赤いきのみが沢山盛ってある籠を指差した。

「あ、あの、このきのみがほしいんだけど……」

「あぁ、りんごね。一つ銅貨五枚だよ」

「……? 銅貨?」

「お嬢ちゃん、お金持ってないの?」

 ラナは首を傾げて、周りの人間を見渡す。ラナがよく見てみると、人間は店のものを得る代わりに丸い石を渡していた。

 (あれがお金?)

「お母さんかお父さんは今は一緒じゃないの?」

「えっと……はい」

「そう、なら残念だけどお金を持ってまたきて頂戴ね。銅貨五枚ならお小遣いで貰えると思うよ。うちは大抵ここで店出しているから。明日もいるからね」

 店の女性はそう言うと、他の客の相手をし始めた。ラナは呆然としながら果物の山を見る。目の前に山のようにあるというのに、お金がなければ食べられない。お金という物を知らなかったラナにとってそれは世界が割れたような感覚だった。

 (ラナこのままだとお腹減って死んじゃう?)

 ラナは空腹を抑えるように腹を抑える。ほらお食べ、というように艶々と皮が輝いている果物たちが、すぐ手の届くところにある。

 (一つくらいなら貰ってもいいよね……?)

 そう思っておそるおそる手を籠に伸ばそうとした時、ラナの後ろから物が転がり落ちる音がした。

 砂埃と怒号が響き渡る。ラナは驚いて身をすくめ、店のテントの下に避難した。見てみると、棒のように痩せた、髭だらけの男が複数の人間によって地面に抑えつけられている。地面にはパンや籠などが散らばっており、周りの歩いていた人間たちは迷惑そうにそれを横目で見て通り過ぎていった。男のポケットからは、果物がいくつもこぼれ落ち、地面に転がっていった。

 男は枯れた声で叫びながら暴れており、兵士たちが走ってやってきて男を殴り、槍で押さえてそのままどこかへと連れていった。

「最近コソ泥が多いねぇ。お嬢ちゃんも気をつけなよ。人攫いも多いらしいから」

 店の女性は突然の大きな音に固まるラナの腕を掴んでテントの中に入れてくれた。ラナは震える声で感謝の言葉を言うと、女性を見上げた。

「コソ泥? 人攫い?」

「お金を払わずに物を盗む悪い人や、人を攫って奴隷にして売る人たちのことだよ。古臭い格好しているけど、もしかしてお嬢ちゃんはお忍びで来たいいところの子かい?」

 店の女性の声は半分ラナにはもう聞こえていなかった。目には先ほど見た光景がはっきりと焼き付いている。

 落ち窪んだ目を見開き、必死に喉から叫んでいた男。細い体を折れそうなほど押さえつけられたあの男はどうなったのだろうか。連れて行かれた先で殺されたのだろうか。

 先ほど自分がやろうとしていたことを思い出して、ラナはあの男に自分を重ねていた。大勢の兵士に取り囲まれて地面に押さえつけられ、叫んでも誰も助けてくれない。翼のない今、それはどれほど恐ろしいのだろうか。

「ラ、ラナ、お金欲しい。あの、お金ってどうやって貰うんですか?」

「ん? ええっとね、働いたら貰えるよ。それよりもお嬢ちゃん、お家帰った方がいいんじゃないのかい? 多分お家の人心配しているよ」

「働く? どこで働けるの?」

 ラナは身を乗り出すと、女性は困惑したように眉を寄せた。

「ええっとねぇ、こういった物を売っているところや、あそこの角を曲がった先で変わった格好をしている人たちみたいに、なにか珍しい物を見せたり、芸をしたりしてお金をもらっている人もいるし……あとは遊牧民みたいに羊や馬なんかの家畜を飼って肉にしたり毛皮を売ったり……色々あるけど、お嬢ちゃんならお母さんやお父さんにお小遣いもらった方がいいんじゃない?」

「お店……働かせてください!」

 ラナは女性に飛びつくように言うと、女性は目を見開いて、苦笑しながらラナの頭を撫でた。

「ここでかい!? いや、うちは人手足りてるからね……ん〜ラシッド様のところが探していたような……でもあそこは……」

「ラシッドサマのお屋敷! 行く! ありがとうおばちゃん!」

「あっ! ダメだよお嬢ちゃん! こら! 話を聞きな!」

 女性が声をかけてももうラナの耳には届いていなかった。お金がもらえる、これで何か食べられると思うと自然と足は早くなる。どこにいるのかもわからぬラシッドのところへ行くために、ラナは人混みにぶつかりながらも走り出した。



 ラシッドのいる場所は、ラナがぶつかった人に謝りながら聞いていくと、すぐにわかった。

 ラシッドの屋敷は大通りから外れた路地の隙間を縫っていくように歩いていくとあった。都市の中央から外れた場所は大通りの賑わいも風に乗ってしか聞こえてこない。人混みもなく、道は閑散としていた。

 建物は密集しておらず、ゆとりを持って建っていた。その中でも一際大きな建物がラシッドの屋敷だった。

 ラシッドの屋敷は他のよくある黄土色の四角い家ではなく、真っ白な大理石でできていた。白い大理石の壁は日差しに反射し、目に刺さるほど眩しい。

 屋敷の外周はさらに壁が覆っており、中の様子を伺うことはできない。屈強な兵士が長槍を持って門の入り口に二人立っており、ラシッドの家の前で呆然と立っているラナを訝しそうな目で見ていた。

「ここがラシッドサマのお屋敷……ラナ、働く!」

 勢いよく門の中に入ろうとすると、優しそうな顔の兵士はラナの肩を優しく掴んで、入り口から遠ざけた。

「こらこら、さっきから何してるのかなと思ったけど、君みたいなお嬢ちゃんが入っちゃダメだよ」

「ラシッドサマのところでラナ働くの!」

「なに? 君売られてきたの? それにしては売人はいないし……ここ、どこだか知ってる?」

「ラシッドサマのお屋敷!」

 ラナが元気よく宣言すると、兵士は苦笑しながら膝を折り曲げ、ラナと視線を合わせた。

「ラシッド様のお屋敷がどういうところか知ってる?」

「知らない! 働ける人探してるって聞いた!」

「知らないのかぁ。困ったなぁ」

 兵士は頭をかきながらもう一人の兵士に目配せする。強面の兵士は、心底めんどくさそうにため息をつくと、どこかへいけと言うように手を無造作に振った。

「さっさと追い出しゃいいだろ。おい、ガキ。ここはお前みたいなチンチクリンが来る場所じゃねぇんだよ。働き口が欲しいならあっちの大通りの大道芸の一団に頭下げて入れてもらえ」

「なんで? ラナ働けない?」

「働けねぇよ。だからとっとと失せろ」

 強面の兵士は槍の尻を乱暴に地面に叩きつける。大きな音が鳴り、ラナは肩を大きく跳ね、優しそうな兵士の背中に隠れた。

「こらハキム。子供相手に乱暴にしないの。ごめんねぇ、コイツ暑くてイライラしてんの」

「うるせぇぞ、タリク。その口閉じてそのガキさっさと追っ払え」

 ハキムと言われた兵士はラナの首根っこを掴むと、館の少し離れた場所に落とし、猫でも払うように手でラナを払った。

「ラ、ラナは! 働くの!」

「無理だっての。お前その見た目ならまだ初潮も来てないだろ。ここは娼館だぞ」

「しょちょー? しょーかん?」

「そこからかよ。なにもわかってねぇガキは失せろ」

「ラナお姉さんだもん!」

 ラナが頬を膨らませて、ハキムに言い返すと、ハキムは心底うんざりしたようにため息をついた。

 タリクは槍を地面に置いて、ラナの肩を掴んで視線を合わせると、ゆっくりと落ち着いた声でラナに話しかけた。

「あのね、これは老婆心から言うんだけれどね、他の場所で、人が沢山いるところで、ラシッド様の館で働きたいとか言っちゃダメだよ? 誘拐されて本当に売られてくるからね。子供に発情する気持ちの悪い奴もたまにいるから……とにかく、ラシッド様のお屋敷で君は働けないの」

「?」

「さっきから騒がしいけれど、何かあったの?」

 ラナはよくわからずに首を傾げていると、凛とした声が聞こえてきた。

 門の向こうを見ると、夜のように黒い艶やかな髪の女性がそこにはいた。

 目は煌めく夜空のように光っており、肌は大理石のように白い。腕も足も細く、鹿の優美な体を思わせるしなやかさだった。白く薄い肌触りの良さそうな服を着ている。

「ライラか。なんでもねぇ。このガキがここで働きてぇとかほざいてやがるから追い出してるところだ」

 ハキムがライラと呼んだ女性は、それを聞くと、くすくすと笑って、ラナの方に歩いてくる。花のような香りが漂い、ラナは少しみじろぎした。

「あらあら、別の場所と間違えてきちゃったのかしら」

「で、でも、ラナは働かないと……お腹すいた……」

「お腹すいたの? お家は?」

「お、お家……飛んできた」

「家出しちゃったの。お母さん心配してるわよ」

「ママ、いない……パパも……いない……やることあるから、ラナは帰れないの……」

「そうなの……」

 ライラは何か考えるように顎に手を置く。しばらく考えていたが、考えがまとまったのか、にこりと微笑み、ラナの両手を自分の両手で包み込んだ。柔らかい手のひらだった。

「ちょうど私の身の回りの世話をする子が欲しかったの。ラナちゃんが私のお部屋のお掃除をしたり、お買い物したり……色々お手伝いしてくれたらお金あげるわ。もちろん、痛いことや嫌なことはさせないから」

「本気で言っていんのか!?」

 ハキムがギョッ、と顔を顰めさせてライラに詰め寄る。タリクも渋面を作り、「それは……」と小声で呟いた。

「ラシッド様の許可も得ずにそんな勝手なことを……!」

「あら、ラシッドは私の好きにしていいと言っていたもの。あの人は娼館の経営よりも、評議会の方で忙しいらしいから」

 ライラはラナの小さな手の甲を親指で撫でる。ライラの整った爪が、太陽を浴びてキラキラと輝いていた。

「働く! ラナ、ライラのお手伝いする!」

「よし! じゃあ早速お部屋行きましょうか。そういうわけだから、二人ともよろしくね」

 ライラは嬉しそうなラナの手を引いて館の中に入っていく。タリクとハキムは目を合わせ、肩をすくませた。

「お前がさっさとあのガキ追い出してりゃ良かったんだ。絶対面倒なことになるぞ」

「他責するのはよくないよ。それに、ライラの側仕えならなんとかなるでしょ」

 二人は再び門の前に戻っていく。遠くから市場の喧騒と、館の方からはラナの嬉しそうな声が聞こえて来て、ハキムはまたため息をついた。


 

 ラシッドの館に来て、最初にラナが驚いたのは、トイレだった。

 パルディスにいた頃は、皆どこでも好きにおしっこやうんこをしていたのに、人間は決まった場所でしかしないと知った時は、目と口を大きく開いて閉じることができなかった。しかも、男女別れてしなければならないというのだから、その驚きは天に登るほどの衝撃であった。

 なぜ男女別れてトイレをしなければならないのか、なぜ排泄を隠れてしなければいけないのか、ラナにはさっぱりわからなかったが、そういったルールがあるのだと言いふくめられ、ラナは目を丸くして頷いた。

 ラナが驚いたのはそれだけではない。砂漠地帯では貴重な水を焚いた、体を清めるための蒸し風呂がラシッドの館には備わっていた。

 最初蒸し風呂を見たラナは、あまりの暑さに調理されると思い込んで逃げようとした。ライラは笑ってラナを止め、体を清める場所だと説明するも、ラナの中には体を清めるために暑い場所に入るという概念はなく、試しにライラと一緒に入ったところ、溶けるような暑さに数分も耐えられることなく、駆け足で外へと逃げ出した。

 他にもラナは、パルディスでは味わえなかった香辛料を使った刺激的な料理を味わったり、今まで知らなかったふわふわの布団に寝転がったりして、人間の摩訶不思議な世界を味わい尽くした。

「ラナちゃんはなんでもびっくりするのねぇ」

 ライラは目を細めて、ラナの一挙手一投足を眺め、楽しそうな声を上げる。

 ラナは新しいものに目が回りながらも、ラシッドの館の間取りや、人間の使うものを学んで吸収していく。

 ライラから頼まれた仕事は、人間からしたら至極簡単なものらしかったが、ラナには未知の世界だった。

 まず、道具の使い方がわからない。

 箒や塵取りなど、用途を教えられれば使うことはできたが、まだ人間の体に馴染んでないラナには難しく、道具に翻弄されながら、掃除する前よりも汚くなっているのではないかというような状態にしていた。

 雑巾がけや、窓拭きなどもしていたが、そもそもなぜ部屋をきれいにするのかも分からずに、言われるがまましており、首を傾げていたら、ライラの「部屋も綺麗な方が心もスッキリするでしょう? それに、地面に石とかがあると、足に引っ掛けて危ないからね」という言葉でなんとか掃除をする必要性を理解し、拙い手で部屋をピカピカにするように努めた。

 ライラの服の着付けや、身の回りの世話もラナの仕事だった。

 最初はライラの服をどう着せればいいのか分からず、むしろライラに世話をされていたが、ライラが根気強くラナに教え、装飾品の付け方や、髪留めの留め方を徐々に簡単なものから習得することができた。

 服の洗濯なども、石鹸をつけて洗濯板で擦って洗うことが理解できず、汚れをただ広げただけの状態にしていたが、他の娼婦に笑われながらも教えてもらい、水をうまく絞ることができずにびしょびしょのまま外に干してしまった。そのため、砂埃が服につき、二度手間になってしまった。そんなラナにもライラは怒ることはなく、くすくす笑いながら、ラナの頭をポンポンと撫でた。

「あらあら、ラナちゃんたくさんお水使ったのね。ここは水路から水を引いてるからいいけれど、他のところではあんまりお水使っちゃダメよ。もったいないからね」

 この時、初めてラナは水が貴重なものだと知った。

 ラナにとって水はごくありふれたもので、そのあたりに湧いて出るものだと思っていたのだが、どうやらそうではないらしかった。

 カリマーラには水路や井戸があり、水は供給されているらしかったが、他の都市ではなかなかそうもいかないらしく、ここカリマーラでも、節水するに越したことはないようだった。

「お水って大切なんだねぇ」

「そうよ。お水がなかったらどんな生き物でも干からびてミイラになっちゃう」

「ミイラ?」

「お水のない体ってことよ」

「ライラはいろんなこと知ってるねぇ。すごいねぇ」

 ラナがそう言うと、ライラは嬉しそうに笑ってラナを抱きしめる。ラナはどうしてライラが嬉しそうにするのか分からなかったが、ライラが笑うとラナも嬉しかったので、同じように抱きしめ返した。


 ラナがラシッドの館に来て、早いもので一ヶ月が経った。

 今ではもう小慣れたもので、部屋や窓も綺麗に掃除できるようになった。綺麗に磨かれた部屋や窓を見ると、すっきりとした感覚が訪れるようにもなった。

 ライラの周辺の世話も、他の娼婦や門番たちなどに助けてもらいながら、洗濯、風呂の手伝い、料理なども多少失敗はあるものの、こなしていくことができた。

 トイレも今では隠れてするのが当たり前になり、パルディスにいた頃は好き勝手にしていたことを思い出すと顔が赤くなってしまう。

 蒸し風呂も、慣れてしまうと気持ちがいいもので、仕事終わりに入ると、汗がだくだくと流れ、気分がさっぱりとし、風呂上がりに飲む山羊の乳を一気に煽るのが好きになった。

 ラシッドの館に来た当初は、貨幣の価値など全くわかっていなかったラナだが、ハキムやタリク、他の娼婦たちに教えてもらい、一人で市場に買い物に行けるようにもなった。

 初めてライラからお小遣いを貰い、カリマーラに来た時に食べたかったりんごを買った時は、あまりの嬉しさに飛び跳ねて人にぶつかってしまい、りんごを落としてしまうほどだった。そのりんごの味は、ラナが生きてきた中で食べたどんな食べ物よりも甘く、美味しく感じられた。

 

 ただ、ラシッドの館での生活は、楽しかったことばかりではなかった。

 最初のうちは覚えるだけでも体がすぐに疲れ、眠気が襲ってきた。仕事が終わるとすぐに眠ってしまい、気づいた時にはすでに朝日が昇っていることが多々あり、仕事をしろとハキムによく怒られた。

 ライラから頼まれて、館の備品を買うためにお使いに行ったが、頼まれたものを間違って多く買ってしまった時などは、ライラは笑って許してくれるものの、お金の管理を主に担当しているラジュルなどにはネチネチと文句を言われた。

「はぁ〜まったく……これだからどこぞのガキは……簡単な計算もできないんですか? あーあ、もったいない。銅貨五枚あれば、靴磨きのサービスを受けられるんですよ? あぁ、君には分からなかったねぇ。つい最近まで金貨と銅貨の違いもわからなかったんだからねぇ」

 ラジュルは事務室で、台帳に数字を書き込みながら、ラナの顔を見ずに刺すような愚痴を延々と喋り続けた。買い物で余ったお金を返しにきたラナは口を尖らせ、顔を俯くが、それもラジュルには腹立たしかったようで、聞こえるようにため息を大きく吐くと、つけていた眼鏡を指で押し上げ、ラナを睨んだ。

「お金は天下の回りもの。銅貨一枚を笑うものは銅貨一枚に泣く。私はラシッドの館の金銭関係を管理しているんです。最近入ってきた新人だろうが、古参だろうが、売れっ子だろうが、関係なくお金の管理はきっちりさせてもらいます」

「……わかってるもん」

「わかっていないから言っているのがわからないのか? とにかく、これからはちゃんと買うものをライラに確認してから買い物に行くように。……ああ、メモを取っていきなさい。そうすれば間違わない」

「文字わかんない……読めないし……書けない……」

「……はぁ、これだからその辺うろついてた出自もわからんガキは……」

 ラジュルは眼鏡を外し、眉間を指でぐりぐりと抑えた後、羊皮紙とインク、羽ペンをラナに投げつけるように渡した。ラナが慌てて両手で受け取ると、ラジュルは虫を追い払うように、ラナを手で追い払った。

「それで文字の読み書きの練習をなさいな」

「ラジュルが教えてくれるの?」

「そんなわけないだろう。私は君に時間を割くほど暇じゃないんです。昼なら暇そうにしている娼婦たちの誰かに教えてもらいなさい」

「みんな文字読み書きできるの?」

「一部の娼婦はできますよ。ここにいる連中は訳ありばっかりですから」

「訳あり……? ふーん?」

「わからないなら聞かない。ほら、さっさと失せなさい。仕事の邪魔です」

「わかったよ……ラジュルのあほ……」

 ラナが小声で言うと、ラジュルは視線を台帳から離さずに、机の上にあった文鎮をラナに投げつける。ラナは「ピィ!!」と声をあげて避けた。

「誰がアホだ。十数える間に私の目の前から消えないと、今度は羽ペンを君の頭に鶏のトサカみたいに刺しますよ」

「ご、ごめんなさい〜!!」

 ラナは大急ぎで事務室から飛び出す。後ろからラジュルの「扉を閉めてから行きなさい!」という声が追いかけてきた。

 それ以降、ラナは買い物の際は絶対に商品を間違えていないか確認するようになった。

 まだ他にも失敗はある。

 スパイスが入っていると美味しいと学習したらラナは、スパイスのかかった肉の味を忘れられず、人のいない厨房で、勝手にスパイスを大量にまぶした肉を焼こうとした。

 見よう見まねで薪をくべ、火をつけると、思った以上の火力が出てしまい、どうすることもできずに、呆然と立ち上がる炎の柱を、恐怖の眼差しで見守ることしかできず、フライパンの上にあった肉は、哀れな炭の塊のようになってしまった。

 たまたまそこに異変を察知したハキムが走ってきて火を消し、火事にならずに済んだが、ラナは頭を片手で掴まれ、持ち上げられた。

「クーソーガーキー? なーにしてんだぁ?」

「ス、スパイスのかかったお肉……食べたくて……」

「ほぉーう? お前の言うスパイスのかかった肉とやらはこんなに黒いんだなぁ?」

「ハ、ハキム……頭痛い……」

「他にいうことは?」

「勝手に火を使ってごめんなさい……?」

「なんで疑問系なんだよ。火事になるところだったんだぞ。火の世話もできないなら一人で火を起こすんじゃねぇ!! 他には!?」

「えっと……お肉を勝手に食べてごめんなさい……?」

「なーんでー勝手に館の食材使った!?」

「ライラが、お腹減ったら食べていいよって……言ってた……から……」

「それは籠に持ってある果物の方だろうがよぉ! だーれが貴重な肉を食っていいって言った!? 曲解してんじゃねぇぞ!?」

「ご、ごめんなさい……」

 ガミガミと小言を大量に言われ、椅子に縛られ、焦げた肉を自分で食べて処分するように言いつけられてしまった。

 スパイスがかかりすぎた黒焦げの肉を処理する羽目になったラナは、あまりの辛さとコゲの苦さに泣きながら食べ進め、こっそりハキムが見てないうちに捨てようとすると烈火の如く激怒された。

「飯を粗末にする奴は、砂大蛇に生きたまま食われちまうぞ!! テメェの落とし前はテメェでちゃんとつけろ!!」

「で、でも……苦い……食べられないよ……」

「テメェのせいだろうがよぉ! 食え! 世の中飯食えねぇやつがたくさんいるんだよ! 碌に働いてもねぇテメェが食いもん粗末にしてあまつさえそれを捨てるなんざ、どこぞの神が許しても俺は許さねぇからなぁ!」

 結局ラナが全部お腹に収めるまで、ハキムは見張り続け、その日の晩、ラナはお腹が痛くてずっとトイレに篭る羽目になった。それ以来、ラナはご飯を粗末にしないことと、火を一人では使わないこと、スパイスは少しだけ使うと言うことを心に刻んだ。


 そうやって数々の大なり小なりの失敗や経験を積み重ねたラナは、人間としてのカリマーラでの生活を理解し始めたが、ラナは娼館という場所がいまだに理解できなかった。夜になると娼婦たちは皆、薄い肌が露出した格好になり、与えられた部屋に篭る。そしてそこに男たちがやってきて、朝になると帰っていく。自分は仕事がないから部屋に一緒にいることはできないが、そこに居られない理由がラナには全くわからなかった。

「殿方に夢のような一夜を見させるのが私たち娼婦の仕事なのよ」

 ラナが夕方、仕事前の時間に、ライラに娼婦とはどんな仕事なのかと尋ねたとき、ライラは鏡を見て髪を整えながらそう言った。

「ふーん? ねんねさせるの? ラナもねんねさせるの得意だよ。ぴよぴよ歌ったら、みんな寝ちゃうよ」

「うーん……違うわねぇ……まだラナちゃんには難しいわよねぇ……」

「違うの? ラナお歌上手だよ? 前ね、おばちゃんが赤ちゃんたくさん産んだんだけどね、ラナのお歌でねんねさせたの。それと違う?」

「そうねぇ……そんなに穏やかだったらよかったんだけど……」

「え……夢を見させるんでしょ? ねんねさせてるんじゃないの?」

「うーん……ラナちゃん、きっと大人になったら色々わかる時がくるからね。でも、私はラナちゃんには他のお仕事について欲しいわ」

「どうして?」

「……ふふ」

 ライラはただ笑うだけでそれっきり何も教えてくれなかった。ライラはラナを手招きし、胸に抱き寄せる。ラナは何も考えずにライラの胸に顔を埋めた。

「ラナちゃんは、大きくなったら好きな人と、好きなところで、幸せに暮らすのよ」

「うん……? で、娼婦のお仕事って結局なぁに? 夜いつもみんな何してるの?」

「ん? 戦ってるのよ」

「……戦い!?」

「そう、いろんなものとずっと、ずーっと、私たちは戦ってるの」

 ライラはラナの髪を手で梳きながら、歌うように話す。ラナの体を守るように抱きしめ、化粧が崩れるのも構わずに頬を寄せた。

「ラナちゃん、ラナちゃん。私のところに来てくれてありがとう。可愛いラナちゃん」

「ライラ、ラナのこと大好きだねえ」

「もちろんよ……だって、とっても似てるから」

「?」

「ごめんね、ラナちゃん。わからなくていいのよ。貴女はわからなくていいの」

 ラナはライラの背中に手を回し、胸に耳を当てる。トクトクと心臓の音が聞こえ、うとうとと眠気が訪れた。

「ライラ……ちょっとママみたいだ……」

「……ママみたいなの? 私?」

「ママも、すごく優しくて、いつもラナのこと、可愛いね、大好きだよって言ってくれたよ」

「そう。そうなの……私、わたし……」

 ライラの声が震えて、ラナの体に温かい水がポタポタと落ちてきた。ラナは不思議そうに顔を上げると、ライラは目元を指で拭いながら笑っていた。

「ライラ、どこか痛い?」

「ううん……痛くない……痛くないよ……大丈夫……大丈夫よ……」

「本当? ラナ、ヨシヨシしてあげるね。痛いの痛いの飛んでけ〜! これね、ラナが怪我した時にママがよくしてくれたおまじない! ライラの痛いのもどっかいっちゃうよ!」

 ラナの小さい手がライラのまとめた髪を撫でる。そのせいでライラの髪は崩れて、ボサボサになっていったが、ライラはラナにされるがままになって、ラナを抱きしめた。

「ラナちゃん、本当にいい子ねぇ」

 ライラは開店時間ギリギリまでラナを抱きしめて頬擦りをし、慌てて身なりを整えてラナを部屋から追い出した。部屋から出たラナは、ライラをギリギリまで拘束したと事務室でラジュルに難癖をつけられて小言を言われたが、ラナはずっとライラの涙が忘れられず、小言を右から左へと聞き流していた。


 娼婦の仕事が戦うことだと知ったラナは、みんなの役に立つために、何かできることはないかと考えた結果、タリクに相談することにした。

 昼の最中に、門の前に槍を持って立っているタリクは、心底困ったように笑って頭を掻いた。

「うーん! そうきたかぁ……!」

「ラナも戦う!」

「ラナは戦わなくていいんだよ?」

「戦うの!」

「いやね、ライラが言っている娼婦の仕事っていうのは、ラナが思っているようのことではなくてね……」

 ラナが駄々をこねるように地面を何度も叩き、タリクが困っていると、人通りの少ない昼間にガラの悪い男が三人やってきた。

 男たちはニタニタと笑いながらタリクの方へと足を進めてくる。ラナは訝しげに見ていると、男たちはラナを囲んだ。

「お嬢ちゃん、娼婦の仕事が気になるのかい?」

「俺たちが教えてやろうか?」

「申し訳ありません。ラシッドの館は現在営業しておりませんので、月と星が天にある時間に再度お越しください」

 タリクが槍を男たちの前に突き出し、ラナを自分の背後にやる。男たちは顔を顰めると、タリクの槍を持っている手を落とすように叩いた。

「うるせぇな。テメェに声なんてかけてねぇんだよ」

 タリクは男たちの吐く酒臭い息に眉をぴくりとも動かさず、槍を喉元に突きつけた。

「お帰りください」

「門番風情が偉そうに……」

「おい、お嬢ちゃん。ここにくる男たちはね、子供作る行為を金を払ってするんだよ」

「子ども……お金……?」

 ラナが首を傾げてタリクの後ろから男たちを見上げる。タリクは槍の柄を地面に叩きつけると、再度男たちの喉元に槍を突きつけた。

「もう一度言います。お帰りください」

「はぁ〜!? 俺たちはここによくくる上客だぞ!? 門番風情がそんな態度取っていいのか!?」

 (お前らみたいな金も持ってなさそうな奴が、ラシッドの館に来れるわけないだろう……)

 タリクは後ろにいるラナを見て、歯噛みをしながら男たちを睨んだ。

 ラナは、そんなタリクのイライラしていることにも気づかず、ぼんやりと子どもを作るという行為について考えていた。パルディスでは、多くの動物がいた。そこでは、よくメスを巡ってオス同士が角を突き合わせて戦っていたり、メスに向かって羽を広げてアピールしていたりしていた。

 (つまり……この人たちは、ライラたちにアピールするために来ている……? ということは……?)

「お金を払わないと、メスに振り向いてもらえない弱いオスってこと!?」

「テメェ! 今なんつった!!」

「このクソガキッ!!」

 男たちはラナに向かって腕を振り上げる。その瞬間、タリクは槍の柄の部分で男たちの手首を殴打し、男たちの腹を蹴り上げて地面に転がした。男たちは痛みで顔を歪め、腕や腹を庇うように抱える。タリクは男たちを見下ろすと、槍を地面に叩きつけた。

「耳が遠いようなので何度でも言います。お帰りください。今度はその酒の飲み過ぎで弛んだ腹を刺しますよ」

「ぐっ……クソっ……」

「調子に乗りやがって……!」

 男たちはよろよろと立ち上がりながら去っていく。タリクは男たちがいなくなるのを見届けてから、深く息を吐き、ラナの目線に合わせてしゃがんだ。

「ラナ〜、ダメだろ。酔っ払いを煽るようなこと言っちゃ……」

「え? だって、あの人たちお金払わないと女の人に相手してもらえないんでしょ? 普通のオスって、メスにエサ取ってきたり、他のオスより強いところアピールしたり、綺麗な羽見せてすごいんだぞ! ってするものじゃないの?」

 ラナは至極当然のように言うので、タリクはラナのほっぺを軽く摘んで引っ張る。柔らかいほっぺたが餅のように伸びた。

「うーん……君はどんな環境で育ったんだい?」

「おじちゃんが一番偉くて、自然たくさんあるところ!」

「ここ以外のオアシス都市かな……? とにかく、ちゃんとしたお客さんとかにも、他の人にも、今の言葉言っちゃダメだからね」

「どうして?」

「なけなしの男の尊厳が粉々に粉砕されるから」

「よくわかないけどわかった! で! ラナもライラたちと戦うの!」

「うん! なにもわかってないね!」

 タリクはラナに教えることを諦め、代わりに文字の勉強を勧めた。ラナは深く考えず、元気に「わかった!」と両手を振り上げて返事をした。

 


 そうやって色々な出来事を経験し、人間の生活に慣れたラナは、ようやく恩人を探す算段を立て始めた。

 

 ライラたち娼婦が仕事をしていない昼間、ラナはライラの部屋で文字を教わっていた。

「ライラ、あのね、ラナね、オスを探しているの」

 ライラと並んで椅子に座り、机の上に置いてある羊皮紙に羽ペンでインクを滑らせながら、拙い文字を書いていく。羊皮紙には、ラナの名前とライラの名前が書いてあった。

 ライラはラナの横顔を見ながら、頬杖をつき、嬉しそうな声で聞き返した。

「オス? 殿方を探しているの?」

「うん、トノガタ。ラナはその人間に助けてもらったから、恩返しするの。でも、何処にいるのかわからない……カリマーラにいるのはわかってるんだけど……」

「そうなの……殿方なら、うちに来るかもしれないけど……それにしても、ラナちゃんまるでアルラーミアみたいなこと言うのね。もしかして、アルラーミアだったりして」

「えっ!?」

 驚いたラナはインクを激しく羊皮紙の上に飛ばしてしまう。そんなラナを見ても、ライラは怒ることはなく、笑いながらラナの手についたインクをハンカチで拭った。

「ふふっ、冗談よ。ラナちゃんアルラーミア知ってるの? 素敵よね、恩返ししてくれる賢い大きな鳥さん」

「し、知ってるよ。有名だもの」

「私も見てみたかったなぁ……ザラファスの信者たちが余計なことしなければ、私も鳥さんに会えたかもしれないのに……」

「ザラファス?」

 ラナが聞き返すと、ライラは驚いたように大きな目をさらに大きく開いた。

「ラナちゃん知らない? ザラファスはこの都市で一番信仰されている神様よ。人間に繁栄をもたらしてくれたと言われているんですって。都市の中心に大きな神殿あるけど……見たことない?」

 ラナはカリマーラの街並みを思い出していた。確かに、都市の中心部には大きな石造りの建物があった。蛇の彫像が並んでおり、物々しい雰囲気が漂っている建物だった。中に入っていくものは、皆深くフードを被り、黒い服装をしている。建物の周りには兵士たちが大勢いたため、ラナはあの周りには近づかないようにしていた。

「あ、あの蛇の像が並んでるおっきい建物……?」

「そう、あそこ。私嫌いなのよね。ザラファスもザラファスの信者も。お客で来ても絶対相手にしないもの。やっぱり私たち娼婦が信仰する神はフェリドよね」

「フェリド?」

 ライラは嬉しそうに頬を蒸気させ、ニコニコと笑い、弾むように話し始める。

「そう、フェリド! 貧者の味方。私たち娼婦の守り神。盗みや殺し、売春も生きるためならフェリドは許してくれる。私たちを守ってくださるのよ。私、フェリドは大好きなの。フェリドはラナちゃんのこともきっと守ってくれるわ」

 ライラはラナの頭を撫でながら言う。ラナの脳裏には、サルディンやガウルがいた。

 サルディンはパルディスの外には神と人間が仲良く暮らしていると言っていた。

 ガウルは人間が傲慢になったから神は神世に去ったと言っていた。

 (つまり、ザラファスやフェリドはまだ神世に去ってない。去っていない神々も、パルディスの外にはサルディンおじちゃんみたいにたくさんいる……?)

「ねぇ、ライラ。フェリドはどこにいるの?」

「フェリドは神殿を持っていないから、何処にいるのかしらね。私も気になるわ」

「フェリド、会ったことないの? ザラファスも?」

「神様には会えないわよ。すごく遠いところで見守ってくれてるのよ」

 (やっぱり神世にみんな行っちゃったのかな? んー、わかんない……)

 ラナがうんうんと唸っていると、ライラはラナを抱き寄せて、優しくその体を撫でる。遥か昔に母に抱き寄せられた感覚を思い出しながら、ラナはライラの体に腕を回した。

「ラナちゃんにはまだ難しかったかな? また今度たくさん話してあげるからね」

「うん、ライラありがと」

 抱きしめられていると、瞼が落ちてきた。温もりに抱かれながら、ラナはそのまま目を閉じる。瞼の奥で、神々が人間と仲良くしている景色が映った。神々が楽しそうに笑いながら、人間が踊っている姿を見守っている。そんな様子を、ラナは他のアルラーミアたちと一緒に空を飛びながら見下ろしていた。

 それはとても優しく、楽しい夢だった。


 

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