第7章 森の奥での影響

少女は森の奥で歩みを進める。

足元の土、枝、葉。すべてがいつも通りの感触だ。

でも、目に映るものは、少しずつ変わって見える。

光の筋が、前よりも細く揺れているように感じた。


小さな違和感は、彼女の手の動きに影響を与えた。

刃を握る手がわずかに硬くなる。

視線は自然と、森の奥の影の方向へ向かう。

振り返ることはしない。

でも、森の気配に少しだけ敏感になっていた。


足跡や倒れた枝、微かな音。

少女はそれらを見逃さない。

いつもなら気にも留めないことが、今は気になる。

体の反応は、森が告げる“何か”に応えるかのようだ。


森の奥に、またあの形が現れた。

目で追うだけで、少女の心はざわつく。

手を伸ばせば触れそうな距離だが、触れずにいる。

その存在が、少女の判断を静かに変えていた。


歩く速度、視線の動き、呼吸の整え方。

日常的な動作のすべてに、森の奥の何かが微かに影響している。

それでも少女は動じず、淡々と歩みを続ける。

森の奥の異変が、日常の延長線上にひそかに潜んでいることを感じながら。

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