第1話 兵器のための兵器
星界歴四十年、近隣の星への侵攻を続けるゼリョーヌィフに対し、フェルネランドが宣戦布告。それと同時に空爆を開始した。
「ゼリョーヌィフの行う軍事侵攻は国家主権の侵害であり、黙認できるものではない。均衡の回復のため、彼らを止めるために我々は特別軍事作戦を実施する。」
ごもっともな建前である。だが本音は、度重なる軍事侵攻で疲弊したゼリョーヌィフを征し、脅威を排除するついでに広大な土地と豊富な資源を手に入れようという目論見だった。
彼らの睨んだ通り、ゼリョーヌィフは疲弊していた。いくら優位に立っているとはいえ、人海戦術によって失われていく人的資源は、無視できるものではなかった。
それだけではない。彼らの作ったニューラルリンクは依然として強力な技術だった。だが、戦争が二十二年も続けば、いかなる技術も秘匿ではいられない。古臭い戦術の裏で失われたのは兵士だけではなかった。撃破され、鹵獲され、解析された兵器は、やがて敵の戦力として戦場に姿を現した。
今や我々に残されたのは資源だけ。いくら兵器が沢山作れても、それを使う兵士がいないのでは意味がない。その状況を打破するため、ゼリョーヌィフは一つの結論に至った。
兵士を消耗する戦争は、もはや続けられない。
ならば、兵器に兵器を使わせればいい。
その発想の行き着いた先が、オブイェークト118。
「モナーク」と呼ばれる、兵器のために生み出された兵器――その試作一号機であった。
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