2-3
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ジルベスターはミリアが自分の元へ嫁いでくれたことを喜んでいた。
本来なら、強力な治癒能力を持つ聖女との婚姻を望んでいたのだが、
聖女とは、豊富な魔力を持ち、
ジルベスターも
それが戦が間近に
それでもジルベスターが聖女との婚姻を望んだのは、フランベルデ帝国から
日に日にその身の危険を感じていたジルベスターは、辺境伯として国境を守るため、そして少しでも生き延びて戦に勝つため、聖女との婚姻は必要不可欠と考えていた。
しかしいずれ戦地となるだろうこのヴェルサス領へ嫁いでくれる聖女など居ない。困っていたところに声をかけてきたのがミリアの実の父親、トマソン・マイワール伯爵だった。
トマソンは、下町の診療所で治癒士をしているミリアが、自分の娘であることを
ジルベスターは早速、トマソンの庶子であるミリアという娘が、どのような人物か調べた。
ジルベスターは実際に治癒をしている様子を見てみたいと思い、訪問
二年だけの
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「ミリア、私は君との婚姻を喜ばしく思っている。しかし君には最初に言っておかねばならないことがある。この婚姻は二年で解消する契約結婚である。申し訳ないが、私が君を愛することはない。それでも君が
ミリアはジルベスターが告げた言葉に何かがストンと
――そうよね。平民として生きてきた私が、閣下と婚姻だなんておかしいもの。何か理由があって、二年間だけ
そう思っても、なぜ自分が選ばれたのか分からない。治癒魔法が必要なら聖女と婚姻を結べばいいのではないか。
「
「どうした、言ってみよ」
「治癒の能力にしても身分にしても、聖女と婚姻なさるのが一番適切かと存じます。私は市井育ちで、貴族の常識やマナーも存じ上げません。どうか、元の場所へ私をお返し下さい」
少し非難めいた言い方になってしまうのは仕方がないだろう。こんなところまで無理やり連れて来られた身としては今すぐにでも帰りたかった。
「貴様! 閣下に対してなんと無礼な!」
「ヘンドリックス。仮初でも彼女は私の妻である。そのような口の
「し、失礼致しました……」
―― 私を、かばってくれた?
ミリアがジルベスターの言動を意外に思っていると、彼は「実は……」と切り出し、辺境領での戦が近いことや婚姻を結ぶ聖女が見つからないことなど、事情を説明してくれた。
「
「……はい、慎んでお受け致します……」
そこまで言われてしまえば、ミリアにこれ以上
「要望があれば
「ご
売られるようにして連れて来られたことに
――ジルベスター様は今まで接してきた貴族たちとは何か違うわ。きちんと裏表なく説明してくれて、私を蔑んだりしない。
信用できるとまでは言い切れないが、
「ヘンドリックス、ミリアが恙なく生活できるよう配慮するように」
「はっ」
こうしてジルベスターとの謁見を終え、二人の白い結婚が始まりを迎えた。
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