第2話 シゴトドウナン?サムギョプサル

「それで、最近どう?」

コンロの熱気で、店内はとても暖かい。セーターだと暑いくらいだ。


テーブルの向こう側の2人は元同僚。今はバラバラの派遣先になったけど、時々ごはん会をしている。今回は韓国料理にしようということで集まった。目当てはサムギョプサルである。


白いテーブルに、お皿が続々と運ばれてきた。

大根のお漬物、ナムル、ニンニクの葉、サラダ、肉を包む用のサニーレタス、スンドゥブチゲ、チーズキムチチヂミ、タレ各種、白ごはん。

そして、主役の豚肉ブロックがうやうやしく登場した。でっかい!


このお店のサムギョプサルは、分厚い豚バラブロックをどーんと熱したコンロに乗せ、まずは表面を香ばしく焼き上げていく。豪快ビジュアルでテンションアップ。

次にブロックを食べやすい厚みにカットして、さらにこんがりっと焼いていく。作業はすべて店員さんにお任せ。手際の良さと、じゅうじゅう脂を落としながら黄金色になっていく豚肉に目は釘付けだが、仲間の近況もちゃんと聞く。


集まった時のアジェンダは、もっぱら現在の職場のことだ。やりやすい環境?大変な人はいない?仕事はやりがいがある?などなど。もちろん守秘義務の範囲内だが、そんな話をしながらお腹を満たしていく。


さて焼き上がったサムギョプサルが、焼けすぎないように網の上に積み重ねられたら、店員さんから召し上がれ!のGOサインが出た。


まずは塩だけで食べてみて!というおすすめに従い、パクリ。塩気と肉の旨みがジュワッと口に広がり、うまい!!シンプルこそ王道。


だが、色々試したい欲望が続く。何せ、タレも3種類、ワサビをつけてみたり、レタスに包んだり、ニンニクの葉で巻くバージョンも試さねばならない。マルチタスク目白押しだ。


アツアツお肉をほおばりながら、仕事談義もヒートアップ。仕事のいざこざも、肉と一緒に飲み込めば、なんか達成感の調味料も効いてきて、もういっちょ頑張るか!という気分にもなってくる。


単純だけど、お腹と気分は連動してる。空っぽなところには、なるたけ幸せなものを詰め込むと良い。そうして心もお腹もピチピチになったころ、みんな満足げに赤い顔で笑った。


帰り道にダイヤ街商店街を歩いたら、ブルーのイルミネーションがキラキラ瞬いていた。もう年末なんだね。次のごはん会はまた来年!

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今日のお昼は何たべよう 羽衣 @hagoromo_n

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