第6話 裁判は会議室で

シーン:即席裁判

舞台は「契約遵守課」の重苦しい会議室。壁には「笑うな、働け」の標語。

中央に長机、アントニオ、シャイロック、ジェシカ、バッサーニオ

そして判事役の法務部新人ポーシャが座っている。


ちなみにポーシャはアントニオの奥さんの変装で入れ替わっている。


判事

「えっと……契約書によると、アントニオさんは返済できなければ肉一ポンドを差し出す、ということですね?」

シャイロック

「そうです!契約は契約です!笑いは不要です!」

(観客笑い)


緊迫のやり取り

シャイロック

「肉一ポンドを切り取る!それが契約だ!」

判事

「……ただし、血を一滴も流してはいけません。」

シャイロックは固まる。

シャイロック

「血を流さずに肉を取る?そんなの不可能だ!」

判事

「契約には『血』のことは書いてありませんから。」

(観客爆笑)


アントニオの逆転アイデア

アントニオは観客に向かってモノローグ。

アントニオ(モノローグ)

「僕はただ、静かに芝居を書きたいだけなんです。

なのに今、僕は『肉一ポンド』を『すき焼き』に変える脚本家になってる。

……これ、誰が笑うんですか?」

(観客笑い)


書き直した台本の提示

アントニオが机に新しい台本を置く。

アントニオ

「検閲官、条件通り『お国のため』を三回入れました。

ただし、こうしました。」

シャイロックが台本を読み上げる。


シャイロック(読みながら)

「……『お肉のため、お肉のため、お肉のため』……?」

(観客爆笑)

シャイロックは一瞬固まるが、次の瞬間、腹を抱えて笑い出す。

シャイロック(爆笑しながら)

「ハハハハ!肉一ポンド!お肉のため!

……そして、この台詞!『お肉は食ってもいいが割り下はすするな』!

こんな芝居、国家も笑うわ!」

(観客拍手)

シャイロックが爆笑し、契約書を破り捨てる。


判事「これ、法律的にOKですかね?」


幕が下りる。

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