第5話 カフェの密会
舞台は薄暗いカフェ。壁には「笑うな、働け」の標語。
ジェシカが帽子を深くかぶり、バッサーニオが向かいに座る。二人は小声で話す。
ジェシカ
「今夜、決行よ。国外脱出。笑わないでね、見つかるから。」
バッサーニオ
「笑わないよ……でも、君の父さん、怖そうだな。」
ジェシカはため息。
ジェシカ
「怖いけど、抜けてるのよ。契約のことしか頭にないんだから。」
バッサーニオは不安げに周囲を見回す。
バッサーニオ
「国外脱出って……本当にできるの?僕、パスポートすらないんだけど。」
ジェシカはバッグから小さな紙切れを取り出す。
ジェシカ
「これ、暗号よ。『肉一ポンド』って書いてあるでしょ?これを言えば、港で船に乗せてもらえるの。」
バッサーニオ
「……焼肉パーティーの合言葉みたいだね。」
(観客笑い)
ジェシカは真剣な顔で言う。
ジェシカ
「笑わないで。本当に命がけなんだから。」
その瞬間、カフェの隅で新聞を読んでいた男が立ち上がる。
忠誠監視局員だ。メモを取る。
監視局員(小声)
「国外脱出……肉一ポンド……反逆の暗号だな。」
(観客爆笑)
バッサーニオは観客に向かってモノローグ。
バッサーニオ(モノローグ)
「僕はただ、芝居がしたいだけなんです。
なのに今、僕は『肉一ポンド』って言葉で国家に追われてる。
……これ、どんな脚本ですか?」
暗転。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます