第6話
扉がゆっくりと開き、闇の向こうに未知の世界が広がった。そこはまるで夢の中のように静かで、不思議な光が漂っている。
柚葉は蓮の手を握りしめたまま、少しだけ勇気を振り絞った。
「行こう…」彼女はそう呟き、扉をくぐり抜けた。
二人がその先に入った瞬間、周囲の風景が次第に変化し始めた。そこには、見覚えのある風景と、見たことのない不思議な光景が入り混じっていた。
「ここ…」海斗がつぶやいた。「まるで、記憶と夢が入り混じった場所みたいだ」
「兄貴の秘密の場所…」蓮は静かに言った。「きっと、兄貴が残した真実が眠っている」
その時、遠くから淡い声が聞こえた。
「ようこそ…」その声は優しくも神秘的だった。
光の中から一人の女性が現れた。彼女は白い衣装をまとい、まるで天上的な存在のように輝いている。
「私は、この場所の守り手。真実を知る者にだけ、その扉を開く力を与える」と語った。
柚葉は少し戸惑いながらも、「私たちは、真実を知りたいだけです」と静かに伝えた。
女性は微笑みながら、「では、あなたたちの心の奥底にある『願い』を教えてください」と答えた。
柚葉は迷いながらも、心の中で蓮への気持ちと、兄貴の秘密を解き明かしたい強い想いを抱いた。
「私…兄さんに伝えたいことがあります。彼の願いを叶えるために、真実を見つけたい」
その瞬間、光が眩く輝き、彼らの心の中にあった“願い”が一つ一つ映し出された。
蓮も静かに言った。
「俺も、真実を解き明かして、兄貴の想いに答えたい」
女性は満足そうに頷き、その手から光が放たれた。
「その願いが叶う時、扉は完全に開かれるだろう」
次の瞬間、彼らの前に巨大な扉が姿を現した。扉には複雑な模様と、古の文字が刻まれている。
「さあ、行くぞ」蓮は静かに決意を込めて言った。
「私たちの未来は、この扉の向こうにある。そして、恋も、秘密も、すべてが解き明かされるだろう」
柚葉は蓮の手を握りしめ、「一緒に、真実の扉を開けよう」と誓った。
扉がゆっくりと開き、新たな謎と感動の世界が待ち受けていた。
扉が音もなく開ききると、中は幻想的な世界へと変貌していた。満天の星空が広がる天の川のような光景。まるで夢の中に迷い込んだかのようだった。
「これ…」海斗が驚きの声を漏らした。「現実じゃないみたいだ」
「兄貴の秘密の場所…きっとこれが真実の扉だったんだ」蓮も目を見張った。
柚葉は、蓮の腕をしっかりと握りしめたまま、深く息を吸い込んだ。
「兄さん、あなたの願いはきっと…」彼女の心には、兄への想いとともに、もう一つの気持ちが芽生えていた。それは、ただ真実を知るだけではなく、誰かと一緒に歩む未来を望む気持ち。
その時、光の中から一人の老人が現れた。彼は穏やかな笑顔を浮かべ、彼らに近づいた。
「ようこそ、少年少女たち。私はこの場所の守護者。あなたたちが望む真実は、すでにあなたの心の中にある」と語った。
「心の中にある…?」柚葉は戸惑いながらも、「どうすればわかるの?」と問いかけた。
老人は優しく微笑み、「真実の扉を開く鍵は、あなたたちが何を一番欲しているかを知ることだ」と答えた。
その言葉に、柚葉の胸の奥にあった気持ちが蘇った。
「私は…兄さんの願いを叶えたい。そして、自分の気持ちも伝えたい」
蓮はその言葉を聞き、静かに頷いた。
「俺も、真実を解き明かして、兄さんの想いに答えたい。だけど、それだけじゃなく、これから先の未来も描きたい」
すると、老人はゆっくりと身を翻し、天の川の光に包まれるようにして、巨大な扉の前に立った。
「扉の奥には、あなたたちの未来と、知られざる過去が待っている。勇気を持って進みなさい」そう告げると、扉がゆっくりと開き始めた。
その扉の向こう側には、過去の記憶と未来の希望が交錯する世界が広がっていた。
柚葉は蓮の手を引きながら、「私たち、怖いけど、進もう」と決意を新たにした。
蓮は優しく微笑み、「一緒に、すべての真実を手に入れよう」と誓った。
彼らは扉をくぐり、新たな世界へと踏み出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます