第2話

生来虚弱なたちで、スポーツも苦手。神経も繊細。

基本的に生きるのに向いていない。

こういうのを「蒲柳の質」という。

なんとなく蒲焼のウナギとか連想する字ですが、そうではなく、「ユキヤナギ」という植物が弱弱しい、ふにゃふにゃした性質で、そこから来た例えだそうです。


 虚弱なことをよく吹聴?していた作家もいる。

 吉行淳之介さんとか、アレルギー体質で、空気中のカビにもアレルギーなので、「生きるのに向かないという象徴的文学的な体質」みたいに自虐していた。


 その、吉行さんの「鬱の一年」という文庫本は、病の話ばかりですが、「絶望名人カフカの生き方を学ぶ」みたいに、安心して勇気づけられるという効用があった。


 病院やら薬の話が吉行さんには多い。 「目玉」は白内障か何かの手術のハナシ。 赤線通いのころの毛虱のハナシ。  結核で入院していたころの話。 兎に角、吉行さんはいつもハナ肇のおとっつあんの如くに「いつもすまないねえ」とか臥せっているイメージでした。 「街角の煙草屋までの旅」という随筆集もあった。


 吉行さんは「座談の名手」という顔もあり、「恐怖対談」とかの対談集も多く、暇なときによく読みふけり、かなり細かく記憶してしまった。 これも「少年倶楽部」を読みふけったという昔の人の述懐に似た、「サザエさん症候群」のひとつかな?


 湯川秀樹さんは、幼少期に「祖父による漢文の素読を日課とした」らしい。旧制高校の生徒の「デカルト、カント、ショーペンハウエル」というのも有名?

 

 井上靖さんの自伝的な長編小説は非常に面白くてリリカルでもあり、昔の青年期、青春の実像が浮き彫りになっている。 

 で、自分を振り返ると、中二病というのか? 青春期くらいから井上さんのような健全な精神的発達プロセスについていけなくなっている感じがします。


 そこのところをどう生き直していくか? 

 かなりに遅きに失しているが? まあ今後の課題とも思う。







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