色の違いで差別され、虐められている主人公のミハ。
人種差別の話と思って読み始めたが、あれ?ちょっと違うな、ああ、これは確かに!と気づいた。
ミハは、土色。他の仲間たちはみんな緑色。
緑色は保護色だが、土色はそうではなく、土色のミハと一緒にいると敵に狙われるので、ミハは死神と言われて仲間に嫌われている。
だが、雨が降らず緑が少なくなってしまった今、土色のミハの方が保護色として生存しやすくなって来た。
仲間のために、新しい緑色の土地を探しに旅に出ようとするミハに母親が語って聞かせた言葉、それがミハを勇気づける。自分の生まれて来た意味を、役割を自覚した瞬間です。
未知しるべというタイトルの意味が感動を呼ぶ掌編です。瑞々しい感性溢れる素敵な表現をご堪能ください。
茶色いバッタが生まれる理由。それは、枯れ草が多かったり、仲間が少ない環境だったりすると、稀にこのようなバッタが生まれるらしい。
しかしその個体は緑色の中に擬態などするはずなく、外敵である鳥に狙われやすくなる。
主人公ミハは、そんな茶色いバッタにございます。
彼女がいると、鳥に位置を知られやすくなるために「死神」と呼ばれ、
仲間たちから差別と陰惨ないじめを受けておりました。
肌の色で受ける迫害。胸が痛みます。
やがて彼女は、どうして自分の肌の色が茶色いのか疑問に思ようになるのは自然なことなのでしょう。
先ほども申した通り、茶色いバッタが生まれる理由は、緑の草が減り、枯れ草が増えたから。
このバッタたちのコロニーは、草が枯れ始め範囲が狭まっているのでした。
彼女は、父親の言葉を思い出します。
「誰にでも、生まれてきた理由があるんだよ」
この言葉を胸に、肌の色で虐げられ続けた彼女がとったある意外な決意とは……?
勇敢な一匹のバッタにあなたもきっと心を打たれます。
ご一読を。