減量サイクル

 毎年大晦日かその前日に我が家にやってくるそいつは、クリスマスに食べ過ぎたのか、体重がかなりある。

 だから正月休みを返上してダイエットが始まる。トレーナーは主に祖母、時々父で、稀に俺。この布陣がまた非常に優秀で、順調に体重が落ちていく。それも毎日。六月が終わる頃には体重は半分になっており、わりと標準体重である。どうだ、優秀なトレーナーだろ。

 しかしトレーナーはおろか、こいつはストイックすぎる。年末の頃になるともうぺらっぺらだ。おい、誰だよ。こんなになるまで扱いたのは。祖母だ、父だ、そして俺だ。だから十二月に入ると、急激に痩せ衰えていくこいつを見るのが気の毒になった幼い頃の俺は、祖母や父が忘れていても触れないでやっていた。

 ところがどっこい。最後の追い込みだとか言って、びしゃっ、じゃっ、すじゃぁっ、と一気に体重を落とされる。

 そして大晦日が終わると、骸骨のような鼠色の台紙だけになる。

「ほぉほ……、今年も無事にやりきったぜ……」

 力のない声だ。やりすぎだって。無理は禁物だろ。


 しかし祖母がどこかから新顔を連れてきて、年明けと同時にそいつのダイエットが始まる。

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