減量サイクル
毎年大晦日かその前日に我が家にやってくるそいつは、クリスマスに食べ過ぎたのか、体重がかなりある。
だから正月休みを返上してダイエットが始まる。トレーナーは主に祖母、時々父で、稀に俺。この布陣がまた非常に優秀で、順調に体重が落ちていく。それも毎日。六月が終わる頃には体重は半分になっており、わりと標準体重である。どうだ、優秀なトレーナーだろ。
しかしトレーナーはおろか、こいつはストイックすぎる。年末の頃になるともうぺらっぺらだ。おい、誰だよ。こんなになるまで扱いたのは。祖母だ、父だ、そして俺だ。だから十二月に入ると、急激に痩せ衰えていくこいつを見るのが気の毒になった幼い頃の俺は、祖母や父が忘れていても触れないでやっていた。
ところがどっこい。最後の追い込みだとか言って、びしゃっ、じゃっ、すじゃぁっ、と一気に体重を落とされる。
そして大晦日が終わると、骸骨のような鼠色の台紙だけになる。
「ほぉほ……、今年も無事にやりきったぜ……」
力のない声だ。やりすぎだって。無理は禁物だろ。
しかし祖母がどこかから新顔を連れてきて、年明けと同時にそいつのダイエットが始まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます