カレンダーの始まり

「一週間の始まりって何曜日?」

「月曜日でしょ」

 母の問いに対し、当然だろ、と言わんばかりに答える。日曜日の外出を週末のお出かけと、月曜日の朝を一週間の始まりだと、ラジオが言うから。

「じゃあ、あんたの来年のカレンダーはこれでいいね?」

 毎年年末になると、仕事場やら町内会やらPTAやらで、両腕に抱えるほどのカレンダーをもらってくる母。どれを自分の部屋にかけるか、弟と妹と私とでドラフト会議をする。そんな状況を見かねた母が差し出すのは、

「月曜始まりじゃん」

 左端の数字は黒かった。

「あんた、一週間は月曜始まりって言ったじゃない」

「カレンダーは日曜始まりなの」

「……変な子。誰に似たんだか」

 ため息交じり母は、去年(といってもまだ今年)と同じく、地元の工務店のカレンダーを差し出す。

「多分、父さんに似たんだろ」

 弟たちにカレンダーを配る母の背に、私は小さく呟いた。

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