晴れた日の小さな話
「よし。用意終わり。」
窓から太陽の光が差し込み浮いているチリがキラキラと輝いている。今日は絶好のお出かけ日和だ。
昨日バス停で眠ってしまった後気がつくと翌日の自室のベッドの上にいた。なぜ移動していたのかはわからない。
雨もすっかり止んでいて今までの荒れ模様が嘘のようだった。
用意した荷物を持って家を出る。心地よい風が吹いていて地面にある水溜りには太陽が反射していて眩しく輝いている。
自然に囲まれた道を少し歩きバス停でバスに乗る。快晴なためかいつもより乗客は多かった。
バスに二十分ほど揺れた後に降り、そこからさらに五分ほど歩いた。
ここに来ると胸の奥が引き締まるような感覚になる。
「今年も来たよ。」
その場所は綺麗な木々に囲まれていた。優しい風と誰かが供えた線香の匂いも流れてきていた。
「今日でちょうど二年。早いよな。」
用意していた花と生前好きだった小さなドーナツを供えた。
「昨日までありがとな。会いにきてくれて。」
この数日会っていたのが霊なのか夢だったのかはわからない。
「夢でも霊でも会えて嬉しかったよ。なんか胸が埋まった気がする。」
言葉は何も返ってこない。それでも淡々と喋り続けていた。
しばらく話した後手を合わせ、立ち上がった。
「また来るよ。今度もいっぱい学校の話、してやるからな。」
助けられなかった後悔はある。だが寂しいと思うことはもうやめた。兄として前に進む姿を見せないといけないから。
「またね。陽彩。」
僕は妹の墓に手を振ってそのばを後にした。
約束 夜野蒼 @neir122
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