冬の冷たい空気感と、心臓の鼓動が聞こえてきそうなほどの熱い緊張感。 この物語は、「語らずに語る」技術が光る作品だと感じました。要所要所で視覚と触覚が交差する、鮮やかな筆致で言葉なしにも感情が伝わってきます。 短い文字数の中に、一人の女性の成長と、二人の間に流れる温かな情愛を凝縮させた、冬の定番にしたくなるような美しい純愛の短編です。 未来を想像させる終わり方も素敵です!
内気な想いと小さな嘘が、雪の夜の情景に溶け込むように描かれていて、とても繊細でした。編み込まれた赤いマフラーが、言葉にできない「好き」の象徴として胸に残ります。優しさがあるからこそ踏み出せない距離、そのもどかしさが静かに積もっていき、ラスト直前の一歩に強く心を掴まれました。白い雪と赤い想いの対比が美しい、余韻のある恋の短編です。