第3話

ホームルーム後に星宮さんにひとしきり撫でられた僕は、彼女達から解放され、いつもと同じ独りきりの学園生活に戻れ・・・


「ねぇ花江君。」

「花江君。」

「これ見て!花江君!」

「どう?花江君。」


なかった。

どういうわけか休み時間の度に僕の近くに来て話しかけてくるようになった。

果たして言葉を返さないというか返せない僕相手に話しかけていて星宮さんは楽しいのだろうか?

いや正確には頑張って返答しようとはしている。

流石に申し訳ないし。

しかし、言葉がまとまらなかったり吃ったり、さっきみたいに声が小さかったりして上手く伝わらない。


「しかしまぁ、あなたも面倒なのに目を付けられましたね。ご愁傷様です。」


藤崎さんにはこんなことを言われてしまった。

まぁ確かに僕の日常は星宮さんによって完全に崩壊してしまった。

それにしても藤崎さんの中で星宮さんは一体どういう扱いなのだろうか。

そんなこんなで数日経ちこの状態が新しい日常と化してきた頃。


「花江君って普段どんな服着るの?」

「...えっと、その、あんまり外に出ないので...」

「普段着をあまり着ないという事でしょうか。」


藤崎さんの言葉に頷く。

流石に数をこなしたこともあって星宮さんと藤崎さん相手であれば少し言葉を返せるようになって来た。

上手く伝わらなさそうな場合は藤崎さんがYes or Noで答えられる形で更に聞き返してくれるので助かっている。


「なら今度の週末3人で服買いに行きましょう!」

「「えっ?」」


何故か僕と藤崎さんの声が被った。





というわけで僕達3人でのお出かけが決定したわけだが。

それには一つ問題があった。


「うーん...」

「美咲~入るわよ。......あんたそんな恰好で何やってんの?」


現在の僕は下着類のみを身につけた状態であるので母の反応はごもっともである。

だからと言って別に変なことをしていたわけではなく・・・


「今週末クラスの子と買い物に行くことになったから、その日に何を着ていくか考えてたんだよ。」

「あら、あんた友達居たのね。」

「友達?でいいのかな?」

「なんでそこではっきりしないのよ...それで?服は決まりそう?」

「男の時の服から今でも着れそうなのを選んでみたけど、身長が縮んじゃったのもあって...」


そう、今更だが僕は女性化にあたって身長が縮んでしまったのだ。

元々別に高くも低くもなかったが、今では女性としては結構低めのミニチュアサイズになってしまっている。


「そういえばお母さん、何か用があって来たんじゃ。」

「ああそうそう、咲良が明日帰ってくるそうよ。」

「えっ?お姉ちゃん帰ってくるの?」

「あっ!咲良の服借りればいいんじゃない?多分今なら丁度サイズも合うでしょ。」

「うーん、今からでも帰ってくんなって言えないかな?ていうかなんでこんな時期に?もう10月だし夏休み終わってるよね?!」

「なんでって、そりゃあんたの事伝えたからでしょうよ。あと、帰ってくんなは自分で言いなさい。」

「えっ!なんで伝えちゃったの!?」

「家族なんだから、当たり前でしょ?」

「そこをなんとか、勘当からの除籍とかでなんとか。」

「なーに訳の分からないこと言ってんの。咲良が帰ってくるの結構久しぶりね、感動の再会じゃない。」

「全然感動じゃなーい!」

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咲良は大学2年生です。

美咲の女性化を伝え、写真を送ったらその場で帰省を決めました、ヤバイですね。

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