第2話
僕の身に起きたのは症状は1億人の内に1人に起きる様なものらしい。
つまり症例はあることにはあるが、極めて稀である。
そしてその症状は・・・
「生物学的に完全な女性になっていますね。」
という感じらしい。
症例が少なく原因も戻し方も分からないらしく結論、治らない。
一応変化の前兆として発熱があるらしい。
つまりあの高熱はその前兆だったということだ。
病院で出来ることは無いので戸籍上の性別の変更手続き等の諸々の必要事項の説明を受け帰宅した。
◆
「いやー、まさか息子が娘になるなんて思わなかったな~。」
「流石に受け入れるの早すぎないかな?」
「そう?私はこんな可愛い子が娘で嬉しいわよ。そうだ!お父さんにも連絡しないとね。驚くだろうな~。」
母の順応性の高さには驚かされる。
当の本人ですらまだ実感が無いというのに。
「あっ!そうだった学校にも連絡しないとね。制服は咲良のがあったでしょ?同じ学校だとこういう時便利ね。」
「普通は"こういう時"なんて起こるわけないんだけどね?!」
残念ながら今は"こういう時"なのでそうする他ない。
しかしこの体で学校に行くというのは由々しき事態だ。
「あっ!そういえば下着買うの忘れたわね、今から買いに行きましょうか!」
「え?」
今はこっちの方が由々しき事態だった。
そんなこんなで数日かけて諸々の準備が整った。
今日はこの体になって初の登校日だ。
とても...とても...憂鬱だ。
別に学校が嫌なわけではない。
僕の症状は極めて稀である。
そんな僕が登校するとどうなるか・・・
◆
「・・・ということで今日から花江は女子生徒になるのでその辺り理解するように。はい、ホームルーム終わり。」
「なあ花江!女になるってどんな感じなんだ?」
「わあああ!美咲君可愛すぎ!」
「てかちっちゃ!ホントに同い年か?!」
「髪サラサラだね!どのシャンプー使ってるの?」
「美咲ちゃんスカートメッチャ似合ってる!」
「花江お前...胸でかいな...」
「サイテー」
とまあ、当然質問攻めに遭います。
「そんなに囲んだら花江君が可哀そうでしょ?」
僕とクラスメイトの間に割って入ったのは学級委員長にして大企業のご令嬢でもありみんなに大人気の星宮 結月さんだった。
「ほら、花江君困ってるじゃない。大丈夫?」
大丈夫ではないです。
今すぐこの場から逃げ出したいです。
僕が俯いたまま言葉を返せずにいると・・・
「ほら散った散った。皆さん委員長の言葉が聞こえなかったんですか?」
副委員長の藤崎 香織さんが中々いなくならない囲いを散らしていった。
「大丈夫ですか?顔が青いですよ。」
「...すみま...」
「え?なんですか?」
"すみませんでした。"と言ったつもりだったのだが僕の声が小さすぎて聞こえなかった様だ。
「ほらそんなに詰めちゃったらさっきと一緒でしょ?もう大丈夫だからね。」
そう言った星宮さんは僕を膝に座らせて抱き寄せ、頭を撫ではじめた。
うん?
「なんでそうなるんですか。」
藤崎さんが真顔でツッコんだが僕も全くの同意見である。
=====================================================
TS周りの設定は深くは考えていないのであまりツッコまないでください。
あくまでも物語の一要素として考えてもらえれば。
ちなみに話の中で出てきた咲良は美咲の姉です。
あと父親が出てきていませんが単身赴任中です。
登場人物が増えてきたら人物のプロフィール集みたいなものも投稿したいと考えています。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます