本編

第1話

僕、花江 美咲は他人ひとと話すのが苦手だ。

何かきっかけがあったわけじゃない。

ただ話そうとすると上手く言葉が出てこなくなる。

でも僕は元々1人で居るのが好きだし、趣味の読書もその方が捗る。

つまりこのことを僕は特に問題だとは思っていない。

言うならば僕はポジティブコミュ障だ。

だから僕はずっとこのままのんびりとした日々を・・・





「うーん...」


スマホのアラーム音で目を覚ます。

目を擦りながらディスプレイに表示された時間を確認する。

時刻は6時30分を示していた。


「......寝坊した。」


朝食の準備と弁当の準備があるため、普段は1時間は早く起きている。

緩慢な動作でベットから起き上がる。

僕は朝が得意な方と自負しているが、今日はやたらと頭がボーっとする。

フラフラとした足取りで階段を下り、キッチンへと向かう。


「あれ?いい匂いがする。」


階段を下りている途中で美味しいな匂いがすることに気が付いた。

LDK(リビング・ダイニング・キッチン)へと続く扉を開けると・・・


「あら、起きて来たの。おはよう。」

「おはよう、お母さん。」


既に着替えまで済ませたが、椅子に座って朝食を食べていた。


「美咲が寝坊なんて珍しいわね。ほら、朝ご飯もう出来てるわよ。」

「ありがと。ごめんね、起きれなくて。」

「いいのよ。いつも作ってくれてるんだから。」


朝食は母が代わりに準備してくれたようだ。

申し訳ないが、今日はその優しさに甘えさせてもらうことにした。


「...うん?あんたなんか顔が赤いわよ。」

「え?そう?確かにちょっとボーっとするけど。」


母が僕の額にてを当てる。

ひんやりとして気持ちがいい。


「熱っ!あんた熱あるじゃない!」

「え?ホント?」


体温計で測ってみると39度8分を示した。


「あちゃ~こりゃ駄目ね。今日は学校休みなさい。私から連絡しておくわ。」

「...うーん、分かった。」


熱があるという自覚を得たからなのか急激に思考がまとまらなくなる。

母の言葉への受け答えも空返事のようになってしまう。


「お母さん仕事行かないとだからごめんけど行くわね。寝てないとダメよ。何かあったら電・・・」


僕は薬を飲んだ後ベットに寝かされた。

仕事へ向かう前の母から色々と言われたが聞こえているだけの様な状態だった。

世界がグルグル回っている。

浮遊感を感じ、頭にはよく分からない映像が繰り返し流されているようなそんな変な感覚。

うつらうつらとしたまま時間は過ぎて行った。





「うーん。あれ?楽になってる?」


目を覚ますとさっきまでのボーっとした感覚が取れていた。


「でもなんか声?喉?なんか変な気が...」


声と喉に違和感を感じ、横になったまま"あー"と声を出してみるといつもよりも声が高く、そして通る気がした。

そして体を起こそうとしたところで気が付いた。

声や喉の違和感が些末な事に思える程の変化に。


「え?!何?おっぱい?!なんで?」


何故か自分の胸部にあるはずのない膨らみがあった。


「どういうこと?なにこれ?!」


混乱し、発している声も自分の物とは思えないものだった。

わーわー騒いでいるうちに、部屋のドアが開き母が入って来た。


「どうしたの急に騒いで、良くなったの?......誰?」

「あなたの息子だよ!?」


僕はあんまりな母の問いに理不尽にもツッコんでしまった。

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はい、新シリーズです。

コメディ寄りな内容にするつもりです。

あんまり長くならないようにとも考えています。

このシリーズに関しては思い付きで始めたのでちゃんと締めれるかも続けれるかも分かりませんがよろしくお願いします。

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