モノノケは鉄の檻にて冬ごもり

それから5年

俺は不甲斐ない自分を奮い立たせ、師匠の仇をうつために山籠りしてひたすらにハンターとしての、スナイパーとしての、マタギとしての腕を磨いたのだ


相変わらず奴を待っている


この夏は奴の好物である木ノ実が不作だった

奴はこともあろうかヒトを襲い始めていた


ヒトは持ち前の組織力でチームを組んで奴を追いかけている


俺はマタギとしての誇りにかけて一人で奴をおいかけている


奴は冬眠しないはずだ

十分な皮下脂肪をまだ蓄えていない


この雪山に必ずいる


奴は神だ

不老不死に近い

殺気を消しているにもかかわらず

この俺が奴を狙っていることもわかっているだろう


俺は神を信じないモノノケだ


神を討つのは

俺しかいない


(cont.)


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