お月様からの手紙

沙華やや子

お月様からの手紙

わたしは月

鏡だよ

君を映す

だからこんなに ピカピカなのさ


わたしは月

君が小さなころから知っている

君はママが運転する車の後部座席から わたしをみては 怖がっていた

「ついてこないで」と言ったね


わたしは月

娘になった君が 泣いた日を知っている 初恋に胸躍らせもしたね しあわせな花嫁になった日も見つめていた


わたしは月

パートナーはいない

君は目下 恋煩い中 君をそんなに夢中にさせる彼が羨ましいな

彼にお熱の君も羨ましいな

わたしは月


みんな夢想している 神聖を けれど

わたしは ただの月

涙する時もある


暫くは永遠の 月

君の息子ももうハタチ

リボンをつけてアイスキャンデー持ってた君が 立派な母になった

だのに君はわたしを見つけては

ごめんなさい と謝ってばかり


わたしは月

どうやら これからも生き永らえる


君達が去りゆくことが

さみしい


時々黒い 雲を纏うのは

泣き顔を隠すため


わたしは月 言うなれば鏡

君を映す

だから 誤解しないで

美しいのさ、君



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お月様からの手紙 沙華やや子 @shaka_yayako

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