月日は流れ
「……てゆーかさ、あんたたち本当にあれ以降会話しなかったよね。」
月那は卒業証書を片手に私にそんなことを聞いてきた。
「……絶交したからね!それに高校も離れるし!もう会うこともない!」
「あんたがあんなにランク上げるとは思わなかったよ。」周りには言ってないけど、私は県内トップの高校を受ける。そうしたらきっと…
あいつとはもう会うことは無い。
「話してきたらいいのに。最後なんでしょ?」月那に言われてちらっとあいつの方を見ると、女子たちが群がっていた。
光に群がる蛾のように。
「あー……第2ボタンか。」今どきそんなもの欲しがるんだ……と若干引きながら遠目で見る。
「絶交したし、もう話さないよ。」
「頑固だなぁ」月那はそう言って笑ったけど、何も答えなかった。
「月那、
ひとつ年下の月那の彼。姉御肌の月那と子犬系男子の冬樹はお似合いで見てて恥ずかしくなるくらいだ。
きっと、今も冬樹は月那が卒業するのが寂しくてうるうるさせているに違いない。
「くっ……彼氏羨ましいったらないよ。もー……」みんなは写真を撮ったり泣いたり笑ったり……何となく感傷に浸りたくなり私は教室へ向かった。
誰もいない階段を上り教室へ入る。グラウンドに集まる人を見ながら鼻歌を歌う。
「見つけた。」突然聞こえた声に、私鼻歌を止めて振り向く。
「……なに?あんた、女子に囲まれてたんじゃないの?……ってなにそのみっともない格好は」ボタンが見事に剥ぎ取られた学ランは〝みっともない〟意外に言葉が出てこない。
「モテる男はつらいってやつ。」いつも冗談なんて言わないやつがそんなことを言ってきて、私は笑ってしまった。
ケラケラと笑う私を見て彼も穏やかな表情を見せた。
「あー……笑った。……で、なんでこんなとこにいるの?」笑いすぎて出てきた涙を拭きながら見上げると「さー?」ととぼけたようにわたしの横に座った。
「絶交なうなんだけど。隣に座らないでくださーい。」
「そもそも俺は了承してないし。」
なんでこんな奴がモテるのかな。本当。……みんなが思ってるよりうんと、子供っぽいし。抜けてるとこだってある。意外と頑固だし。
「……でも、今日で本当にバイバイだよ。学校も違うし!」
「……まぁ、好きにすれば?俺は華弥の思い通りにならないけど。」
何度も呼び方を変えろ……って言ってたのに全然変えてくれなかった。……でも、呼ばれるのも最後だしまぁいいか。……なんて思って「はいはい」と適当に答えた。
「華弥は本当に……俺を振り回すよなぁ」私の肩にドスッと頭を乗せながらそんなことをいうから「振り回されてるのは私だっつーの!」と答えると「いーや、俺だねー」と笑った。
他人から見られたらまるでカップルの痴話喧嘩だ。
「…………ほら、重たいんですけどー!私もう行かないと!……東雲くんバイバイ!」
「おー、また。」私が教室を出ようとすると彼は余裕の表情で私に手を降った。
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