幼馴染卒業宣言!

藤原いちご

面倒くさい幼馴染

月那るな……私、決めたの子があるんだけど……聞いてもらってもいい?」


部活終わり、バスケ部マネージャーで私の親友の月丘つきおか月那るなにそう切り出すと、彼女は呆れた顔でため息を着いた。



「……聞き飽きてることなら聞きたくないけど?」


「いや!……絶対今度こそは、決めたの!情とかそんなのはない!……私は決めた!!……あいつとは絶交する!!!」大きな声で宣言すると近くを歩いていた人がびっくりしたように肩をビクッとさせて私の方を振り向いた。


月那は「すみません」と申し訳なさげに謝ると私に「うるさい!ばか」と怒ってきた。



「だってだって……」と言おうとすると、彼女は「まぁ、わかるけどねぇ……〝あいつ〟の幼馴染なんて……荷が重いよねえ……」と笑った。



「わかってくれてありがとう……本当に大変なんだから!」


怒りながら歩いていると、色々思い出して余計にイライラしてきた。



「……でも、絶交ってどうするのさ。いつもそう言ってるけど、成功してないじゃん?」


まぁ、その通り。実際、絶交する方法なんて分からないのだから。



「……月那、私明日こそ絶交する!……見ててよ!」鼻息荒く宣言すると彼女は呆れたように笑うのだった。






翌日、朝早く起きてカーテンを開ける。「うん!なんてよい天気!きっと神様も私を応援してくれているんだ!」そうに違いない!


「……うん!朝ごはんもとっても美味しい!これは絶好日和だよ!」朝ごはんとお弁当を作り、洗濯まで終わらせることができるなんて!完璧すぎる!


自画自賛レベルだよ……



「じゃあ、いってきまーす!」清々しい気分で家を出て、学校へ向かう。朝早いからランニングしている人達が多くいて、私もつい走りたくなる。


昨日までなら、部活の朝練があったけどそれももうない。なぜなら引退したから。


「部活もないのに、こんなに早く登校している人なんていない……よね……」



部活があるならまだしも、3年はまだいないだろう。


ガラッと扉を開けて教室に入る。





「……あ……」〝あいつ〟がいた。まだ、いないと思っていたのに、いた事に驚いて少し固まると奴も気がついたみたいで「はよー」と適当に挨拶をしてきた。



「あんた、なんでそんなに早いのさ。あんたも部活ないでしょ?」


「あー……、朝練無くなっても身体が覚えてるから起きちゃうんだよ」


そんなこと言いながら、眠そうな目を擦っているから相変わらず意味がわからないやつだと思う。



こいつは東雲しののめ日向ひゅうが。私の幼馴染で、本日絶交するつもりのやつ。



華弥かや。髪の毛跳ねてる。」スタスタ近ずいて来て私の髪に触れようとした瞬間、私は瞬時にその手を掴んだ。



「ちょっと!…何度も言わせないで!私に触れるな近くな!それに、苗字で呼べって言ってるでしょ!秋庭あきばって呼びさなさいよ!」


「ふっ………反抗期かよ」



む……ムカつく!……こいつはいつもそう。動じない。私が暴言を吐いても怒るどころか、こうやって笑うんだ。



「てゆうか、なんで苗字で呼ばないといけないんだよ。俺たち幼馴染じゃん」



「もー!だから!あんたが目立つから!……迷惑なの!!!!」



こいつはモテる。……びっくりするほどモテるやつだ。


まず、顔。クォーター?……って奴らしく4分の1外国の血が混ざってるらしく顔が濃い。それも、王子系キラキラ顔だ。ムカつく。


その2、身長。……この夏でまた伸びたらしく179もあるらしい。そしてなぜかまだ、伸びそうで…ここまで行ったら邪魔だと思う。


その3、スポーツ万能。陸上部で今年も短距離で自己ベストを更新したらしい。


その4、性格。他の男子たちみたいに騒がしくないからか、クールに見られるらしい。



唯一の欠点といえば、頭。悪くはないけど平均点くらいらしく、私が勝てるところはせいぜいそこくらいだ。


そんなやつだから、まぁモテる。



尋常じゃないくらい。……そして、私は今までずっと迷惑を被ってきた訳だ。



幼馴染というだけで、嫌がらせされるし……ラブレターを渡すの手伝わされるし……何が1番嫌って……



こいつと付き合ってるって思われて、私に彼氏ができないってとこ!!!!



こんなやつ全然興味なんてないのに!!



「日向!……いいえ、東雲くん……私はあんたと絶交します!!今日限りで他人!わかった!?」指をさし宣言する。



うん!スッキリ!



これで私の生活はバラ色になるってもんよ!


「……絶交?俺と華弥が?」自分の席に座って肘を付きながら顎を支える姿はムカつくけど絵になる。



「そ……そうだけど。あんたのせいで私は迷惑ばっかりかけられてるの!……だから、他人!今日から他人!……えっと……そう!豚肉と鶏肉くらい!……ううん、肉と魚くらい他人よ!」



「……聞いていい?」静かに私の話を聞いて神妙な面持ちでそんなのことを言ってきたからドキリとして「……な……なによ」と答えると彼は言った。





「どっちが肉でどっちが魚?」

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