無添の刃 錆びたチェーンと長女の誇り
おもち
モノローグ:キャイン、という生き方
キャイン!キャイン!キャイン!キャイン!!!!夜の街に異常さを感じさせる音が響いた。古い自転車のチェーンの音だ。その自転車は一見とても古く手入れも行き届いていなようだった。サドルはなぜかずれて固定されており、チェーンがさびているのも含めて座りながらでは漕ぎづらい自転車だ。しかし、その自転車を愛して乗り続ける女がいる。女はKである。Kの持ち物は異常とも思えるほど使い込まれた年季を感じるものばかりである。薄汚れたニューバランスの靴、ジュラルミンケースのような分厚さのノートパソコン、そしてけったいなチャリである。Kはそれらの持ち物を新しくしようとは思わなかった。否、思えなかったのだ何故ならKは長女であるからだ。長女という誇りを捨て去ることをせず持ち続けている。しかし誇りにすがって生きているのかもしれない。それは果たして本当に誇りなのか、Kの意地なのか。真意はKにもわからないのかもしれない。
「おはようございます!」厨房にKの声が響く。Kは京都の大学に通う大学2回生の女だ。11月から新しくオープンする回転寿司チェーン「K寿司」で新しくバイトを始めた。K寿司はS価学会を母体とする回転寿司チェーンである。最近インサイダー取引を行っていた。Kはこのバイトの面接で新しくオープンする店舗の店長Uに光るものがあるとその価値を見いだされた。人の上に立つ器の素質があると。こときのUの判断はのちに大きな事件(スタバの新作事件)の引き金となった。
Kは新しい出会いへの希望と今まで経験したことのないリーダー候補であるという不安を抱えながら働き始めた。そこでのちに彼氏となるOと宿敵M、そして私と出会うことになる。
無添の刃 錆びたチェーンと長女の誇り おもち @omochitto
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