第二章:再開の広間

姫とフィリップ王子が言葉を交わし、

互いに落ち着きつつあった頃、

大広間の奥にゆっくりと動く気配がありました。


玉座に座ったまま眠っていた、姫の父・ルミエール王と母の妃です。

「オーロラ…!」

ルミエール王が立ち上がり、駆け寄ります。

母の妃も後ろから追いかけ、二人は姫の顔を見つめ、涙を浮かべました。

「良かった!良かった!」

二人は何度も姫の肩や手を抱きしめながら喜び、

姫も、混乱しながらも、その温もりに安堵を覚えました。


フィリップ王子は少し離れて立ち、静かにその光景を見守っていました。


ルミエール王は姫のベッドのそばに立つフィリップ王子に向かって尋ねます。

「そなたは?何故、ここに?」

「失礼致しました。私はこの国の王子・フィリップです」


ルミエール王は驚き聞き返しました。

「この国?フィリップ王子?

 いや、この国は私の国・ルミエール王国であり、王子はいない…。

 もしかして!100年の間に何かあったのか!?

 いや、それよりもまず、なぜこうなったのかを話さねばならぬな…」


ルミエール王は深く息をつき、

オーロラ姫とフィリップ王子に向かって説明を始めました。

「100年前…オーロラの15歳の誕生日の日、

 ある魔女が城を包み込み、ルミエール王城全体を眠らせてしまったのだ」


妃も加わり、二人で時の経過や魔女の呪い、

そして城を守るために使われた魔法のことを詳しく話しました。


姫は、信じられない現実に頭を抱えながらも、一つずつ理解していきます。

・姫が生まれた時、魔女達を祝宴に招待し、

 姫は「徳」「美」「富」などの贈り物を与えられたこと

・招待されなかった魔女が「姫は15歳で死ぬ」と呪いをかけたこと

・招待されていた魔女たちは呪いを解こうとしたが不可能だったこと

・一人の魔女が「姫は死ぬのではなく、100年間眠り続けた後に目を覚ます」

 と言う形に変えたこと

・100年後、姫が困らないよう、姫と城が同時に眠る魔法をかけられたこと


説明を聞く姫の手は小さく震え、額には冷や汗が浮かびました。

いつもの様に眠り目覚めたと思っていたのに、100年もの時が過ぎていたとは…。


説明が一通り終わる頃、城内の他の人々も目覚め始めました。

侍女や兵士たちは椅子や床から起き上がると、互いに驚きの声を上げました。

「誰だ!見慣れぬ兵がいるぞ!」

「出ていけー!」

大広間の外では兵士たちの鎧の音が響き、緊張と混乱が巻き起こりました。


その時、一人の兵士が大広間に駆け込みました。

「ルミエール王!他国の兵士が城内に入り込んでいます!」

その報告に城内はさらに騒然となりますが、

フィリップ王子は落ち着いた声で言いました。

「大丈夫です。皆さん、落ち着いて下さい。

 私たちは攻め込んで来た訳ではありません」

城内の人々はまだ混乱していましたが、

フィリップ王子や兵士達の落ち着いた態度に、少しずつ耳を傾け始めました。


100年の眠りの長い空白が一気に解き放たれ、

混乱と不安、そして少しの安心と希望が交錯する瞬間――。


眠れる森の美女・オーロラ姫と、フィリップ王子、

そして目覚めたルミエール城の物語は、ここから静かに動き出すのでした。



つづく~第三章へ~



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2026年1月19日 06:00
2026年1月20日 06:00
2026年1月21日 06:00

眠れる森の美女~目覚めから始まる物語~ 山下ともこ @cyapel

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