第4話『忘れん坊の🐻と泥船』

 今回の旅行は、新幹線のチケットとホテルがセットになってるプラン。そして、レンタカーを安く借りられるということで、ココからは、車での移動となる。 

 クマちゃんが駅から近いレンタカー屋さんで手続きをしている。

「え!」

 クマちゃんがあわてた声を出した。

 どしたの?

 わたしの方にやって来たクマちゃん。

 半笑い。

「狸子さ、

免許持ってる?」

 ん?

「持ってるよ。

いつも、お財布に入れてるもん」

「イエス!」

 クマちゃんが小さくガッツポーズ。


 どゆこと。


 借りたレンタカー。

 コンパクトな白のSUV。

 クマちゃん、助手席。

 狸子、運転席。

「ゴメン!

免許忘れてきちゃってさ」

 クマちゃん、手を合わせて、わたしを拝んでいる。

「わたし、見知らぬ土地で、初めて乗る車を乗り回す自信ないんだけど」

 テンション低めで、わたしは言った。

「でも、狸子、会社でたまに営業車、運転するって言ってたじゃん」

「それは、決まったコースだし、会社の社用車は軽四だからね」

「このレンタカー、四駆だし、スタッドレス履いてるから、大丈夫だよ」

「何が大丈夫なんだか···」

 クマちゃんがカーナビをセットしている。

 カーナビが平板な声で言った。

『到着時刻の目的地周辺の天気は雪···』

 雨交じりのみぞれ。まだ、路面には雪は積もってはいない。とにかく、安全運転で行こう。

「クマちゃん···」

「ん、何?」

「泥船に乗ったつもりでいてよ」

「···コッワ」

 クマちゃんのマジトーン。ちょっとおもしろい。思わず、笑ってしまった。

 ポン🦝🐻🚙♪


 第5話へ続く

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